ボブさんは日記に何が書かれているのか分からないながらも、ずっと大切に保管していた。「日記を保管している間、いつか遺族に返さなければという思いが募っていました。やがて、かつて憎んだ人達と自分との間に大きな違いがないことを悟りました」。
(C)Lao dong、ドアンさんの遺族 |
ボブさんは今年初め、米国の公共放送サービス(PBS)の歴史をテーマにしたテレビ番組に、日記を遺族の元に届けてくれるよう依頼した。多くの人の協力を得て遺族を発見したPBSが、訪越を予定していたパネッタ国防長官に事情を話して日記の返還が実現した。
遺族への日記の返還式は9月21日に行われた。ボブさんはその場に立ち会うことを強く希望していたが、肺がんの治療中でそれもかなわなかった。ボブさんは「私がドアンさんの遺族のことをいつも考え、平穏無事を祈っていることを彼らに伝えてください。こんなに時間がかかってしまったこと、そしてドアンさんの母上が亡くなられて日記を目にすることができないことをとても残念に思います」とメッセージを寄せた。
ドアンさんの妻フオンさんは5月に夫の日記のニュースを知り心待ちにしていたが、日記がベトナムに届けられる1週間前に残念ながら亡くなったという。