ホーチミン市7区タンフン街区にある韓国系企業「クリエイタ・ベトナム(Creata Vietnam)」のオフィス内で2020年11月に起きたバラバラ殺人事件で、同市人民裁判所は19日、同社社長のチョン・インチョル被告(男・38歳、韓国籍)に有罪判決を下した。
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同被告は強盗罪で禁固8年、殺人罪で死刑の判決を言い渡された。この事件で殺害されたのは、被告の友人だった韓国人のハン・ヨンドクさん(男性・当時33歳)。チョン被告とハンさんは2019年に知り合ってビジネスパートナーとなり、2020年4月にそれぞれ18億VND(約1060万円)を出し合って南部メコンデルタ地方アンザン省の工業団地での事業に投資したが、事業は失敗。出資金を回収することが不可能になった。
チョン被告は事件現場となったタウンハウスを2018年から借り、本社として使用。ベトナム人と韓国人の従業員合わせて10人以上を抱え、韓国産の商品向けマーケティングソリューションを提供していた。ハンさんはクリエイタ・ベトナムのオフィスを頻繁に訪れ、スタッフたちとも親しかった。
ハンさんは2020年11月14日、被告から27億VND(約1600万円)を借り、2日後に利子付きで35億VND(約2060万円)を返済することを約束。被告は、自分と会社のお金と、義理の弟(妻の弟)から借りたお金をハンさんに渡した。
しかし、ハンさんは期日通りに元本と利息を支払わず、17日に工業団地への自分の出資金と相殺する形で借金を返済するとした。これに腹を立てた被告はハンさんの殺害を企み、スーパーマーケットでペンチや鋸、ゴム手袋、ビニール袋、睡眠薬を購入。26日にハンさんをオフィスに誘い、睡眠薬入りのビールを飲ませた後、口にゴム手袋を入れて窒息死させた。遺体はペンチや鋸でバラバラにし、黒いビニール袋に詰めてスーツケースに入れ、オフィスの至る所に隠した。その後、ハンさんが身に着けていたブレスレット2本と携帯電話を奪った。
被告は、翌27日午前は通常通りに出勤。その間に遺体の入った黒いビニール袋をスーツケースに入れて外部に遺棄しようとした。ハンさんから奪ったブレスレットは韓国人スタッフに渡して換金するよう指示したが、買取業者が低価格を提示したため、売却をやめた。
社長の言動を不審に思った韓国人スタッフが問い詰めたところ、被告は犯行を打ち明けて車で逃走。韓国人スタッフは、在ホーチミン韓国総領事館に通報すると共に、警察に届け出た。被告は28日、知人が住む同市直轄トゥードゥック市のマンションに身を隠しているところを発見・逮捕された。