ハノイ市共産党委員会副書記 兼 同市人民委員会主席を務めていたグエン・ドゥック・チュン被告(男・53歳)の側近らが複数の刑事事件に関連する捜査書類を漏洩・略奪・売買した事件で、ハノイ市人民裁判所は11日、非公開裁判を行った。
(C) vnexpress |
4時間に及ぶ裁判の末、チュン被告は禁固5年の判決を言い渡された。チュン被告は事件の主犯格として、共犯3人と共に国家機密情報の漏洩・略奪・売買の罪に問われていた。
共犯3人に対する判決は以下の通り。
◇ファム・クアン・ズン被告(男・37歳):公安省傘下密輸経済汚職犯罪捜査警察局(C03)元警察官:禁固4年6か月
◇グエン・ホアン・チュン被告(男・37歳):チュン被告専属運転手:禁固2年
◇グエン・アイン・ゴック被告(男・46歳):ハノイ市人民委員会書記部元職員:禁固1年6か月
運転手のホアン・チュン被告はハノイ市警察の元警察官、同市人民委員会書記部元職員のゴック被告は同市カウザイ区警察元副部長で、いずれもチュン被告の側近として公安機関からハノイ市人民委員会に派遣されていた。
一般に公開された判決内容には、民事賠償や追加処分について記されていない。裁判所は、被告らが罪状を全面的に認めていること、チュン被告が数々の実績を残し、さらに重病を抱えていることを考慮した上で、情状酌量の余地があるとして量刑より軽い刑を下した。国家機密情報の漏洩・略奪・売買の罪に対する量刑は禁固10~15年となっている。
上述の国家機密情報漏洩のほか、チュン被告は以下の2件の刑事事件にも関与した疑いがある。
◇携帯電話小売チェーン「ニャットクオン・モバイル(Nhat Cuong Mobile)」を運営するニャットクオン貿易・技術サービス(Nhat Cuong Trading & Technical Services)やその系列企業、ハノイ市計画投資局における違反事件
◇ハノイ市における公的資産の使用・管理に関する国家規定に違反し損失・浪費をもたらした事件
ニャットクオン貿易・技術サービスやその系列企業、ハノイ市計画投資局における事件では、同社とその系列企業の従業員と同市の高級官僚らが逮捕され、密輸密売容疑、会計に関する規定に違反し甚大な被害をもたらした容疑、マネーロンダリング容疑、競売入札に関する規定に違反し甚大な被害をもたらした容疑などで捜査を受けている。
一方のハノイ市人民委員会における公的資産の使用・管理に関する国家規定に違反し損失・浪費をもたらした事件では、同市人民委員会傘下のハノイ下水排水社(Hanoi Sewerage And Drainage)が市内の湖の湖水浄化処理のためとして、競売入札を行わず、同市トップらと密接な関係があるArktic社から水処理薬品を購入し、国に大きな損失をもたらしたとされる。
これらの汚職事件の捜査が行われている間、チュン被告は捜査の担当機関に所属していた元警察官のズン被告に賄賂を渡し、ズン被告はチュン被告の指示のもと2019年7月から2020年6月にかけて捜査書類を盗み出し、チュン被告の側近らに渡していたことが確認されている。