国営新聞「ダイドアンケット(Dai Doan Ket=大団結)」の元記者チュオン・ズイ・ニャット被告(男・56歳)が、同新聞社の事務所を不動産業界の大富豪であるファン・バン・アイン・ブー被告(男・45歳)に違法に売りさばいた事件の控訴審で、ハノイ市上級人民裁判所は14日、一審裁判の判決を支持しニャット被告に禁固10年の判決を言い渡した。
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同新聞社は2003年、ニャット被告の手配のもと、中部駐在員事務所として使用する名目で南中部沿岸地方ダナン市ハイチャウ区チャンクオックトアン(Tran Quoc Toan)通り82番地にある一等地を取得した。同市人民委員会はこの要請に応じ、時価を大きく下回る価格で同新聞社にこの一等地を割り当てた。
この一等地は翌2004年にブー被告の会社に違法に売却され、名義もブー被告の妻の名義に変更された。同新聞社は2011年に移転するまでこの土地を使用した。この公的資産違法売却は国に130億VND(約6800万円)の損失をもたらしたとされる。
ニャット被告は以前、ダイドアンケット紙の記者を務めていたが、2010年に記者を辞めてからは「チュオン・ズイ・ニャット−異なる視点(Truong Duy Nhat - Mot cai nhin khac)」というブログを開設し、政治問題などを取り上げ、政府の批判を繰り返したり政府首脳陣の辞任を要求したりするなどしていた。これが原因で、2014年に民主的自由の権利を乱用し、国家に不利益をもたらした罪に問われ、禁固2年の判決を受けた。
一方のブー被告は公安省の高級官僚と結託し、2009年から公安省傘下諜報総局の「諜報員」として起用され、「上佐(ベトナムで中佐と大佐の間にあたる階級)」に任命された。ブー被告が支配する複数の会社は「諜報活動」の名目で地方自治体に一等地の割り当てを求める手口を使い、国内各地で数多くの公有地を違法に取得した。
これにより、ブー被告は複数の事件で禁固刑を言い渡されており、さらにブー被告らの要請に応じて規定に従わず公有地を違法に割り当てたダナン市やホーチミン市のトップらも禁固刑を言い渡されている。