英国に渡ったベトナム人未成年者が、入国してからほどなくして所在不明となったケースが直近4年間に少なくとも21件起きているという。4日付けの英タイムズ紙(The Times)に掲載された、同国の新聞記者2人が行った調査に関する記事で明らかになった。
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所在不明者は、先頃冷凍コンテナ内から39人のベトナム人の遺体が発見された事件とは異なり、いずれも合法的に入国し高校や短大に通っていた。しかし記事では、ベトナム人の失踪の裏側には組織的な人身売買が関係している可能性を指摘している。調査によると、ベトナム人学生らはビザの身元保証人となる私立学校に対して授業料1学期分を納付し、始業式の後に数週間から数か月で所在不明となっている。
英国当局と児童保護団体は、弱い立場にあるこれらのベトナム人未成年者、特に女子が、ベトナム系英国人ギャングが元締めとなっている英国各地のネイルサロンやマリファナの違法栽培、売春宿での労働を強いられる可能性を危惧している。
英国警察と内務省はこれまでに、所在不明となっていた複数のベトナム人未成年者をネイルサロンで保護しているが、当時16歳で所在不明となって以来現在も所在が分からない未成年者もおり、実際の所在不明者は明らかになっている人数を大きく上回る可能性があるという。
ロンドン市内のある短期大学では、8人のベトナム人留学生が消える、真夜中に寮の非常口から脱走する姿を職員が見つける、ホームステイ先から失踪するなどの事案も起きている。
所在不明となっているベトナム人未成年者は全員、英語の語学レベルを問われない未成年者向けの第4種ビザを取得しており、2017年にはベトナム人220人に発給されている。英国では失踪者の増加に伴い、留学生を受け入れる教育機関に対して、ベトナム人未成年者の受け入れについて注意喚起を行う事態となっている。