ベトナム戦争描く長編漫画「ディエンビエンフー 完全版」全12巻電子刊行

2019/11/15 10:00 JST配信

 漫画家の西島大介によるベトナム戦争を描いた長編漫画「ディエンビエンフー 完全版」全12巻が、15日からKindleほか約50の電子マンガストアに一斉配信される。発行は「島島」、電子書籍販売代行は「電書バト」。

(C) 島島
(C) 島島

 発行元「島島」は、西島氏が設立した個人電子出版レーベル。「豊かな発想で未来を実装」をモットーとし、西島氏の作品だけを電子刊行していく発行所で、「ディエンビエンフー 完全版」はその第一弾リリースとなる。

 「ディエンビエンフー 完全版」には、双葉社の新装版では未収録だったエッセイ・コミック「アオザイ通信」を完全収録。電子版の装丁はIKKI版と同じデザイナー柳谷志有氏(nist)が手掛け、IKKI版の雰囲気を再現しつつ電子書籍に最適化させている。カバー裏面や折り込み部分もフルカラーで収録。劇画家・平田弘史氏による毛筆ロゴも本編で復活している。

 また、奥付に記された「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」により、「表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)」に対応。スクリーンショットなどによる本編画像の引用や改変を著者自身が許可している。著作の再利用に関してオープンな姿勢を作家自身が明示することは、セルフ・パブリッシングならではの試み。

 「ディエンビエンフー 完全版」はベトナム戦争を描いた物語で、複雑な経緯を持つ。2005年にKADOKAWAで最初の単行本が刊行され、翌年小学館へ移籍し月刊連載としてリスタート。しかし2014年に掲載誌「月刊IKKI」が休刊し、小学館から全12巻を敢行するも未完。

 その後双葉社へ移籍し完結編「ディエンビエンフー TRUE END」3巻を敢行し完結したが、新装版復刊は限定的だったため、物語の「第二部」「第三部」に当たる「ディエンビエンフー」7~12巻は長い間「絶版」状態にあった。

 双葉社より刊行された完結編「ディエンビエンフー TRUE END」と、IKKI版の「第三部」11、12巻には物語に齟齬があり、読者の間では「黒歴史」「BAD END」と呼ばれている。それぞれ異なるエンディングが描かれ、物語は「マルチヴァース(並行宇宙)」化している。今回の電子刊行はその「黒歴史」部分を含む「IKKI版」1~12巻の完全な復刊だ。

 「ディエンビエンフー 完全版」全12巻の配信により、昨年刊行された完結編「ディエンビエンフー TRUE END」全3巻(双葉社)と合わせれば、全ての物語を電子書籍で読むことが可能になる。

 なお、配信開始に先行して「島島」所属のバーチャル・ユーチューバー「ヒカル・ミナミ」によるバイリンガルによる作品解説が公開中。このほか、「島島」noteでは「『ディエンビエンフー 完全版』全12巻電子書籍リリースに関する覚え書」としてリリースに至る経緯を公開している。

[2019年11月11日 島島ニュースリリース A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ベトナム戦争を描いた西島大介の大長編『ディエンビエンフー』が15日、最終巻となる『デ
 複数の出版社を渡り歩き、2018年にようやく完結したベトナム戦争を描いた大長編漫画『ディエンビエンフ...
 ベトナム戦争を題材にした長編漫画『ディエンビエンフー』著者の西島大介による個人電子出版レーベル「...
 ベトナム戦争を題材にした長編漫画『ディエンビエンフー』著者の西島大介による個人電子出版レーベル「...
 『ディエンビエンフー』『世界の終わりの魔法使い』などの作品のある漫画家、西島大介氏がハノイ市で26...

新着ニュース一覧

 ベトナム祖国戦線幹部育成科学研究センターと地域社会開発研究サポートセンター(CECODES)、国連開発計...
 米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した航空宇宙企業ブルー・オリジ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナム海軍第4地域海軍第162旅団所属のミサイル護衛艦「HQ-015チャンフンダオ(Tran Hung Dao)」と「H...
 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を...
 ファム・ミン・チン首相は政府官房で15日、「グリーン成長とグローバル目標のためのパートナーシップサ...
 政府は現在、過去最大規模となる500兆VND(約2兆7600億円)の優遇融資枠の設定を計画している。科学技術...
 政府は13日、民間航空分野における条件付き経営事業に関する政令第92号/2016/ND-CPの一部を改正・補足...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)グループの日本法人FP
 総合物流サービスを手掛ける川西倉庫株式会社(兵庫県神戸市)は、地場物流企業のトアンファット・ロジス...
 国会常務委員会は14日、行政区再編に関する決議第76号/2025/UBTVQH15を採択した。同決議は翌15日に発効...
 チャン・ホン・ミン建設相は、ベトナムを公式訪問していた中国の習近平(シー・ジンピン)総書記 兼 国家...
 観光不動産開発を手掛けるサングループ(Sungroup)はこのほど、ベトナム北部で最大規模となる複合都市区...
 イタリアンレストラン「サイゼリヤ」を展開する株式会社サイゼリヤ(埼玉県吉川市)は5月上旬、ホーチミ...
 フィリピン沿岸警備隊の沖合巡視船「BRPガブリエラ・シラン(BRP Gabriela Silang)」が14日、南中部沿岸...
トップページに戻る