ホーチミン市のある歌番組プロデューサーは嘆く。「現在、大掛かりな歌番組をつくるのは本当に難しい。昔はスポンサーがつかないとか、いい演出家がいないとかが問題だったけれど、今は歌手をそろえること、スターを出演させることが大変。大御所の代わりに出演させる若手新スターを見つけるのも大変だね」。HTV(ホーチミン市テレビ局)、VTV(ハノイテレビ局)ともに、歌番組でミー・リンやラム・チューン、ミー・タムらスターが出演することは殆どない。その理由のひとつは出演料の高騰である。「ひとつの番組に出て2曲歌うだけで4000万ドン(約2,500米ドル)もよこせという歌手がいる!いまや、チャリティー番組か大手テレビ局じゃないと大御所を呼べないんだ」。
歌番組に出演しない理由について、海外の映画やドラマ、国内ならギャラが高い番組でないと、事務所が出演を受けたがらない、と歌手側は主張する。テト準備や中国でのCD発売のため休養中(ダン・チューン)、児童・生徒対象番組のため多忙(ミー・タム)、出産直後のため(フーン・タイン、カム・リー)など個人的理由によると答える歌手も多い。しかしこのような大御所不在の状況は、ホー・クィン・フオンら新手のスターにとっては一気にスターへの階段を駆け上がる願ってもないチャンスともいえるだろう。