4月の魚-エイプリルフール~ベトナムの4月1日~

2016/04/01 JST配信

4月1日はエイプリルフール。海外ではメディアがこぞって嘘ニュースを掲載し、日本でも各企業がエイプリルフール限定のユニークなウソ広告を出したりして盛り上がりますが、ベトナムではまだそれほど盛り上がっていません。若い人の間ではある程度浸透してきたエイプリルフールですが、年輩者は知らない人が多いため、ウソのニュースを掲載して信じ込んでしまったら、大きな混乱が生じる可能性があるからかもしれません。また、検閲があることも掲載を難しくしているのかも。

そのため、スポーツニュースなどある程度限られた範囲で、エイプリルフールのウソ報道が行われているようです。過去には「ベトナムサッカー代表チームがFIFA決勝戦に特別枠で出場!」といったウソニュースが流されました。

メディアのウソ報道はそれほどないのですが、若い人たちは友達同士でちょっとしたイタズラするそうですよ。4月1日だということをすっかり忘れていて騙されてしまわないように気をつけて!

ベトナム語でエイプリルフールは「4月の魚」

ベトナム語でエイプリルフールのことを 「Cá tháng tư(カータントゥ)」=「4月の魚」 と言います。

エイプリルフールの起源ははっきりとはしないそうですが、16世紀のフランスに始まったという説が有力だそうです。フランスではエイプリルフールのことを「ポアッソン・ダヴリル(4月の魚)」と言います。つまり、ベトナム語はこのフランス語をそのまま翻訳したものなんですね。

なぜ「4月の魚」なのかというと、4月は鯖(サバ)が大量に釣れる時期だそうで、4月1日のウソに簡単にひっかかる人は 「4月にバカスカにとれる鯖のようにおバカさん」 との意味あいから「4月の魚」と呼ぶようになったらしいです。

余談ですが、あるベトナム人にエイプリルフールを知っているか聞いてみたところ、「ドラえもんの日本語版を読んで、その存在を知りました」との答えが。ベトナム語はかつての宗主国のフランス語から来ているのに、現代になってその意味を日本から学ぶなんて、ベトナムの歴史は複雑だと思ったのでした。

人間関係にヒビが入らないように気をつけて!

ベトナム人がつくエイプリルフールのウソは、他の国々と同様たわいもないものが殆どですが、ベトナム人がどんなウソをつくのかネット上を調べてみたところ、歩道に立って、交通違反をしている人たちに「前方に交通警察がいるぞ!」と伝えて、たくさんの人を右往左往するさまを面白がった、なんていうベトナムらしいエピソードがありました。学校の先生が、「今日は重要なテストを抜き打ちやります」と生徒を騙し、皆の顔が青ざめたところで休講にして、みんなで楽しく遊んだ、なんていう話も。彼氏や彼女に「他に好きな人ができたの」なんて言うのは各国の定番でしょうか。

しかし、いい話ばかりではありません。あるベトナム人男性のケース。

彼女に「実は僕、『第3の性』(つまり心が女性)なんだ・・・」とウソの告白メッセージを送ったこの男性。エイプリルフールと知っていた彼女が全く相手にしなかったため、本腰を入れて騙そうと、彼女が帰るところを見計らって、他の男性が運転するバイクの後ろにぴったりと寄り添って乗り、ホテルに入るところを目撃させたところ、彼女は彼が「第3の性」であるとすっかり信じ込んでしまい、彼がいくら否定しても聞く耳持たず。結局二人は別れてしまったのだとか。

やはり、ウソはほどほどに。どこの国であっても人を傷つけない愉快なウソがいいですよね。