ベトナム語は現在、アルファベット表記がされており、漢字を知るベトナム人はほぼ皆無だが、実はベトナム語の70%は漢越語(漢字起源の言葉)。文学、芸術、自然科学などの分野においては特に漢越語の専門用語が多用される。そのため、漢越語を学習すれば様々な分野で役に立つとし、漢越語の教育が見直されている。
とはいえ、長年漢越語の教育に力を入れていなかったため、漢越語の教育システムはまだきちんと整備されていない。授業も年に数回で、あまり高度なことは教えないし、教える側の教師もちゃんとした教育を受けていないので、独学した後に生徒に教えるという状況になっている。「ミン」という音のベトナム語は全て「明」という漢字に由来する、と7年生の教科書に明記するなど、教科書の内容もお粗末。生徒が「同盟軍」の「盟(ミン)」と「ウーミンの森」(カマウ省のマングローブ林・ミンは「冥」に由来)を、いずれも「明るい」の意味だと誤解してしまったらどうするというのだろう?