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山のふもとに到着すると、各グループにつき1~2人のポーターを雇い、先頭と最後尾について同行してもらう。ポーター1人あたり平均10~20kgの荷物を担いで歩くほか、歩きにくい道や崖、峠では観光客をサポートする。
ポーターを雇う際の1日あたりの料金は40万VND(約2400円)だが、ポーターは事前に鶏肉やアヒル肉、豚肉、野菜などを準備して山頂まで運び、観光客のために料理をしたり、一晩キャンプをしたりもする。その場合、1人あたり10万VND(約600円)が追加でかかる。
マンさん兄弟たちのグループと同じように、イエンバイ省チャムタウ郡タースア村に暮らす、同じくモン族のファン・アー・ブレさん(1998年生まれ)の1日の仕事も、早朝のニワトリの鳴き声とともに始まる。10月は稲が黄金色に色づく季節で、観光客も多いため、毎日大忙しだ。
この日、標高2979mのターチーニュー峰(dinh Ta Chi Nhu)を登るという観光客19人を迎えて山道を先導することになったブレさんは、道具や食料、カセットコンロなどをかばんに詰めた。19人分の道具や食料となるとかなり大量になるため、観光客はブレさんのグループから4人を雇った。
10年ほどこのポーターの仕事をしているファン・アー・チョンさん(1980年生まれ)によると、ここ数年、タースア村ではポーターとして働くモン族が多く、健康でさえあれば男性も女性も問わず働いているという。荷物の運搬や料理、道案内など全て含めてポーター1人あたり1日に50万VND(約3000円)の収入になる。
「この仕事はとても良いですよ。山や森に遊びに行きながら、子供たちの養育費、それからお酒や、妻のドレスを縫う布地なんかも買うお金が稼げるんですから。1回の仕事から戻るたびにSNSに写真や動画を投稿すると、たくさんの問い合わせがくるんです。最初は副業だったポーターの仕事ですが、今では我々の本業になっています。庭で飼っているニワトリやアヒルも、観光客に売るための商品になりましたね」とチョンさんは語る。