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山岳地帯で観光客の荷物を運搬したり道案内をしたりする「ポーター」という仕事による収入のおかげで、ベトナムの少数民族の1つであるモン族の人々は、子供たちの養育費を支払い、妻のドレスを縫う布地を買い、酒や肉を買うこともできている。
西北部地方イエンバイ省ムーカンチャイ郡ナムコー村トゥーサン地区に暮らす兄のタオ・アー・チューさん(1991年生まれ)と弟のタオ・アー・マンさん(2001年生まれ)の兄弟は、地元に100人ほどいるモン族のポーターのうちの2人だ。
この仕事がどうしてポーターと呼ばれるようになったのかも、いつどこから流入してきたものなのかもわからないが、以前この仕事をする人といえばほんの数人しかいなかった。
いつからか、このポーターの仕事で安定した収入を得られることがわかり、地元の若者たちが誘い合ってグループを立ち上げ、標高2913mを誇るルンクン峰(dinh Lung Cung)で観光客を見つけては荷物を運んだり道案内をしたりするようになった。
ここ数年は、荷物の運搬や道案内だけでなく、山頂に向かう道の途中の休憩ポイントにテントを張って観光客が寝る場所を確保したり、観光客の食事を用意したりもしている。
記者がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でやりとりをしたところ、チューさんとマンさん、他8人の計10人が、ナムコー村センターで記者を含めた10人の観光客グループを出迎え、1人ずつバイクに乗せてルンクン峰まで連れて行ってくれることになった。距離は25km、料金は30万VND(約1800円)だ。
料金がかなり高いようにも思われるが、実際にバイクに乗って移動してみると、急な坂道や、冠水してタイヤの半分以上が水に浸かってしまうような道もあり、この道を自力で進むのは決して容易ではないことがわかる。