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「破れた紙幣、買い取りますよ」という声を聞くやいなや、近くの個人商店から男性が飛び出てきて、右端が焼けて縮れてしまった10万VND(約610円)紙幣を取り出した。
破損した紙幣を買い取ってこの道20年余りのチュオン・ティ・キム・ロアンさん(女性・60歳)は、紙幣を受け取って両面をよく観察し、記番号を確認した。そして、縮れた角を軽く整えると、「6万VND(約360円)で」と言った。
客は同意し、ロアンさんは客に6万VND(約360円)を手渡してから、買い取った紙幣を小さな袋に入れた。その袋の中には、破れたり焼けたりした紙幣が十数枚入っていた。
過去の多くの研究から、この仕事はフランス植民地時代にベトナムで紙幣が発行されたころに誕生したと考えられている。使用する過程で破損し、流通の基準を満たさなくなれば、両替の需要が生まれるからだ。
この仕事が最も盛んだったのは2000年代で、多くの人がこの仕事に従事していた。当時、この仕事を営む人は固定の場所で客を待つのではなく、客を探して住宅街に入ったり、街中を歩き回ったりしていた。
ロアンさんは幼いころ、「お金を買いに」行く父親のバイクの後ろに座りながら、父親が年老いたらこの仕事を継ごうと決めたのだという。
ベトナム国家銀行(中央銀行)の規定によると、破損した紙幣でも全体の60%以上の面積が残っていれば、銀行の支店や取引所に行って無料で交換することができる。
しかし、多くの人はおっくうだったり銀行に行く時間がなかったりして、ロアンさんのような業者に額面よりも安く買い取ってもらうという。額面と買い取り額の差額は、ガソリン代と手間賃とみなされる。
買い取る紙幣は損傷した部分が30%を超えないものとし、角が破れたり、半分に破れたり、一部が焼けたりしているものが多い。通常、業者は紙幣の損傷度合に応じて買い取り額を決める。
ただし、ロアンさんの場合は固定で、20万VND(約1210円)紙幣なら12万VND(約730円)、50万VND(約3030円)紙幣なら30万VND(約1820円)で買い取る。ロアンさんは5000VND(約30円)紙幣や1万VND(約61円)紙幣などの小額紙幣も買い取っている。