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また、アイコンタクトの練習のため、バンさんは仮面をして目に注意を向けるよう工夫した。さらに、セヘさんの気に入っていたおもちゃも教材にした。苦労が実を結び、セヘさんは生後32か月の時にようやく初めての言葉を口にした。
セヘさんが4歳の時、バンさんは息子が紙に落書きをするのが大好きだということに気づいた。それからバンさんは息子のために絵画教室を探したが、セヘさんが落ち着いて座っていられないという理由で、受け入れてくれる教室がなかなか見つからなかった。最終的には家の近くにある小学校の美術の先生が、セヘさんを生徒として受け入れてくれた。
6年後、絵画はセヘさんが世界とつながるコミュニケーションの手段の1つとなった。セヘさんはいつも自分が好きなテーマについて絵を描き、さらにその分野について深く考察した。
花や植物が好きだった時期には、セヘさんは何十種類もの草花について調べてから、たくさんの草花の絵を描いた。またある時は楽器に興味を持ち、様々な弦楽器、管楽器、笛の絵を描いた。また別の時には50種類以上もの世界の国旗の絵を描いた。現在は、自分で思いついた風変わりなキャラクターのイラストを書くのが好きなのだという。
セヘさんの描いた絵は、恵まれない子供たちを支援する社会的企業のタオル、スカート、ノート、カバンなどの商品に印刷されている。また、地域の様々な絵画コンクールで多くの賞を受賞しており、2021年に開催された国家絵画コンクールでも作品が展示された。
絵を描くことだけでなく、セヘさんは英語の勉強や料理にもとても興味を持っている。セヘさんは毎日朝早く起きて、サンドイッチ、目玉焼き、炒飯など自分の朝食を作っている。また、以前は母親のバンさんが横に座って一緒に勉強していたが、今ではセヘさん1人で勉強し、宿題もしている。「息子はクラスの中でも成績が良い方なんですよ」とバンさんが教えてくれた。
セヘさんが絵の勉強を始めてから7年が経った現在、家の中には学習机とベッド以外の部屋中に様々な種類の数百点におよぶセヘさんの絵画が飾られている。風景でも人物でも、また静画でも賑やかな絵でも、セヘさんの作品はどれもカラフルで、それは11歳のセヘさんの魂のように美しい鮮やかさに満ちている。