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トゥアンさんは強い決意を表明するため、母親に頭を剃ってもらい、シャベルとバール、バケツを引っ張り出し、家の周りに200m2の広さの壕を掘った。壕は梯子を使わなければ下に降りられないほど深く、父親のレ・バン・トゥイさんが妻に「トゥアンは戦時中みたいなトンネルを掘っているぞ」と伝えるほどだった。
それから1か月以上が経つと、トゥアンさんは麻薬を欲しなくなっていた。体重は10kgも増え、肌は赤みを帯び、目は輝きを取り戻した。そして周囲の誰もがトゥアンさんの決意を信じ、賞賛した。
トゥアンさんが「人生を変えた」のを見て、麻薬中毒仲間の1人が中毒から抜け出す方法を教えて欲しいと頼みに来た。しかし、2人で麻薬を摂取したときのことを思い出すとトゥアンさんの身体は火照りだし、仲間に麻薬を買いに行くよう頼んでしまった。こうしてトゥアンさんは、再び自身を麻薬に売り渡してしまったのだった。
その後、トゥアンさんは薬物依存症治療施設に連れて行かれたが、施設でグループのボスと争い、結果的に一団のトップとなった。しかし、年老いた母親が差し入れを持って訪ねてきたのを見て心が痛み、グループの後輩に頼んで足の裏に「幸福(Hanh phuc)」という文字の刺青を入れてもらった。
そして、「自分も、この施設にいる中毒者も皆、これまで自分自身の幸福を踏みにじってきた」と語り、改心することを決意したが、それも数時間しか持たなかった。施設の門を出て、2年前によく座って麻薬を打っていた木の側を通りかかると居ても立ってもいられなくなり、トゥアンさんはそのまま家に帰らずに麻薬中毒の仲間を探しに行った。
トゥアンさんは「改心してはまた中毒に陥る」という悪循環を100回は繰り返し、トゥアンさんの過去を受け入れた勇気ある妻も耐え切れなくなり、とうとう離婚を決意した。その瞬間、トゥアンさんは「自分にはもう失うものは何もない」と考え、麻薬を買いに走り、自殺を図って静脈に注射した。7時間が経っても意識は戻らず、近所の人たちはトゥアンさんの棺桶と葬式について話し合いを始めた。