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4区在住のトゥー・フオンさん(50歳)は、トゥーさんの古着カーを長いこと見知っている。トゥーさんの慈悲深い心を尊敬し、フオンさんもしばしばトゥーさんに古着を渡している。また、困難な状況にある人々に贈るための古着も何枚か選んでいく。
「高齢なのに彼は休むこともなくこっちの通りからあっちの通りへ移動し、貧しい人々を助けています。誰にでもできることではないので、とても素晴らしいと思います。だから私も、できることをしているだけです」とフオンさんは笑った。
4区在住のバン・フン・ブーさん(39歳)は、路上で宝くじを売っているときにトゥーさんの古着カーに気付いた。生地が擦り切れて伸び切ったTシャツを着て、躊躇しているような表情のブーさんを見かねた周囲の人々は、古着カーから好きなものを選ぶようブーさんに勧めた。しばらくしてブーさんは2枚の服を選び、トゥーさんに袋に入れてもらった。
「初めてここで服を選びましたが、どれもまだ新しかったです。毎日宝くじを売っても少しのお金にしかならないので買い物もできず、こうして着る服を持つことができてありがたいです。機会があればまた選びに立ち寄りたいです」とブーさんは話し、トゥーさんにお礼を言って仕事に戻っていった。
トゥーさんの車には「0VNDで自由に選んでください」と書かれている。トゥーさんはあえて「0VND」と書いている理由について、「無料」という字があまり好きではないからだと語る。「無料」というと「与えられる」という感覚だが、むしろ「自分で選んで購入する」という感覚を持ってほしいのだという。
「そうすることで、より多くの人が服をもらいにきてくれるでしょうし、お客さんも増えますから。私はただ単に、皆の笑顔を見られれば嬉しいんです」とトゥーさん。
トゥーさんの車には、古着だけでなく救急箱も常備してある。道中で事故に遭った人がいれば、軽傷なら応急処置を手伝い、重傷なら病院に連れていく。
こうして晴れの日も雨の日も、トゥーさんは「0VND」の古着を載せた三輪バイクを走らせて市内のあちこちを回り、幸せな笑顔を見つける旅を続けている。