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ホーチミン市ニャーベー郡在住のグエン・バン・トゥーさん(81歳)はこの4年間、毎日市内の工場労働者や貧しい人々に古着を無料で配っている。色々な人から「他人事の世話をするなんて、あの聴唖(ちょうあ)のじいさんは頭がおかしいんじゃないか」と嘲笑されてもこの活動を続けている。
トゥーさんは痩せこけて髪の毛もほとんど白髪で、両目も濁り、咽頭の病気のため話すことができず補声器を使っている。普段は後部に荷台を取り付けた三輪バイクを運転して古着を運んでいる。
トゥーさんの自宅の「倉庫」には、たくさんの古着がきちんと整理されて保管されている。トゥーさんによると、古着は多くの人にとってはあくまでも着古した服だが、トゥーさんにとっては大切な宝物なのだという。これらの古着は、彼の有意義な活動に賛同した全国各地の人々から集まってきたものだ。
トゥーさんは以前、長距離運転手として働いていた。高齢になって運転手の仕事を辞め、約10年前からはボランティア活動にすべての時間を捧げている。あちこちに行けば行くほど、恵まれない境遇の人々に対する思いが増していった。
「多くの子供たちがまともな服を着られず、また多くの労働者が新しい服を買えない状況を目の当たりにし、無料で古着を配る活動を始めました」とトゥーさん。
トゥーさんが高齢で、さらに話すこともできないことから、当初は家族すらもこの活動に反対した。それでもトゥーさんは決心し、実行に移した。その後、トゥーさんから古着をもらった人々の笑顔を見て、妻や子供たちも徐々に応援するようになり、今では古着の整理などもサポートしている。
「何より喜ばしいのは、メコンデルタや中部の人々まで、私宛てに古着を送ってくれることです。皆が手を取り合うことで、多くの貧しい人たちが古着を手にできる。それがとても嬉しいんです」とトゥーさんは笑って言う。
トゥーさんが今乗っている三輪バイクも、以前の車両があまりに古く、荷物も多く運べなかったのを見かねた人が贈ってくれたものだ。しかし、贈り主は氏名すらも明かさなかったという。