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この家を建てるため、クエットさんは100kmもの道のりをキャッサバ集めに出かけるも7日間で5kgしか集まらず、妻は空腹と子供にあげるミルクがないことで涙を流した日もあった。クエットさんは「悲しまないでおくれ。家族全員が食べるのに困らない方法を何としても見つけるから」と妻に伝え、約束通りに米やトウモロコシ、スイカを植えたりし、1年中休みなく働いた。家では子供のおむつを替えてお風呂に入らせてから、洗濯をし、料理をし、あらゆる家事をこなした。
また、時折10km以上も森の中を歩き、深い小川を泳いで魚を捕まることもあった。家に帰ると、クエットさんは大きな魚を持ち上げてドゥックさんに見せ、「あなたが太ってしまうくらい食べさせてあげるから」と嬉しそうに伝えた。そんな時、ドゥックさんはただ、夫が無事に戻ってきたことに安堵のため息をついた。
クエットさんは植付けや収穫の技術を身につけながら、小銭を貯めて、妻とともに貧困から脱出していった。クエットさんは、2000年代に入る前は毎月数十万VND(10万VND=約470円)ずつ貯めて、500万VND(約2万3400円)、700万VND(約3万2700円)と自分のブリキの貯金箱のお金を増やしていった。そして、妻のために大きな家を建てるという夢を実現することができたのだった。
さらにクエットさんは、妻に贈る家に留まらず、腎不全を患っている長男のため、自分たちの家の隣に2階建ての家も建てた。また、結婚したばかりの末っ子の家を建てるのを手伝い、5人の孫の養育費の支援も続けている。
今も毎朝、クエットさんはベランダに出て静かな村を眺め、「明日は何を植えようか、来月は何を育てようか」と考える。妻のために家を建てるという約束は果たしたが、彼はこれからもまだまだ働き続けるつもりだ