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そして2000年ごろ、クオンさんは結婚し、悪党の道から足を洗って改心して、人生をやり直すことに決めた。かつて自分を捨てた祖父が死ぬ間際に言い遺した「もう罪を犯すな」という言葉で3日3晩泣き続け、決心した。
そんなクオンさんは、多くの友人をがんで失くしていた。一番の親友も同じくがんで死んだ。親友が死に、腫瘍病院の中で座っていたクオンさんは、弔いとして49日間、ここで食事を配って慈善活動をする、と心の中で友人に約束した。
しかし、49日が経ってクオンさんが炊き出しをやめると、引き続きの炊き出しを望んでクオンさんを待つたくさんの人が列を作っていた。クオンさんは我慢できず、市場に行ってパンと牛乳を買い、貧しい人々に配った。以来6年間にわたり、クオンさんは毎日病院で貧しい人々に無料で食事を配っている。
「時間になっても私が病院に現れないと、皆さん気をもんで待っているんです。私に非があるみたいにね。でも、病院に着いて皆さんが列を作って待ってくれているのをみると、涙が出そうになりますよ」とクオンさんは語る。
クオンさんを手伝う人の中には、路上生活者だった人も少なくない。クオンさんが炊き出しを始めたばかりのころ、病院前をうろついている路上生活者がスリを働くこともよくあった。しかし徐々にクオンさんの姿をみてその熱心さに心を打たれ、食事を配るのを手伝うようになったのだという。