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[特集]

刑務所4回、悪党から改心し病院で炊き出し支援―元不良の新たな人生

2019/06/16 05:41 JST更新

(C) thanhnien
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 何度も罪を犯した悪党としての過去を背負いながら、グエン・タイン・クオン(Nguyen Thanh Cuong)さん(男性・49歳、ホーチミン市3区在住)は毎日、ホーチミン市腫瘍病院の前にトラックを停めて貧しい人々に無料で食事を配っている。

 クオンさんは「クオン・バー・クー(Cuong Ba Cu)」の別名を持ち、1980年代後半の悪党の界隈で名の知れた人物だった。若いころは野心的で、肝が据わっていることを証明するために盗みを働いた。当初、クオンさんは自分のことをまるで騎士であるかのように考え、何か不満を感じればすぐに強盗行為に及んだ。

 強盗を繰り返すうち、盗んだものを転売してお金を得ることに歯止めがきかなくなっていった。次第に、他の盗っ人を待ち伏せして、盗っ人が盗んだものを再び盗むようになった。こうしてクオンさんの人生は犯罪に染まっていった。

 「学校も辞め、家族にたくさん罵倒されました。私は、学校は嫌い、盗みが好きだと答えていました。老いた祖父は私を殴って指を折り、私のことを見捨てました。17歳のころには家も買えるくらいのお金を盗んでいたので、当時、お金を稼ぐのは何て簡単なことなんだろうと思い、学校に行ってわざわざ嫌な思いをすることに何の意味もないと思っていました」とクオンさんは振り返る。

 同じく17歳のとき、クオンさんは強盗容疑で逮捕され、刑務所に入った。出所しても仕事はなく、生計を立てるために色々な方法を探した。その後、古い友人に会ったとき、友人に誘われて賭博を始めた。賭博でお金を稼ぎ、楽しんでいたのもつかの間、さらに3回も刑務所を出入りすることになった。

 そして2000年ごろ、クオンさんは結婚し、悪党の道から足を洗って改心して、人生をやり直すことに決めた。かつて自分を捨てた祖父が死ぬ間際に言い遺した「もう罪を犯すな」という言葉で3日3晩泣き続け、決心した。

 そんなクオンさんは、多くの友人をがんで失くしていた。一番の親友も同じくがんで死んだ。親友が死に、腫瘍病院の中で座っていたクオンさんは、弔いとして49日間、ここで食事を配って慈善活動をする、と心の中で友人に約束した。

 しかし、49日が経ってクオンさんが炊き出しをやめると、引き続きの炊き出しを望んでクオンさんを待つたくさんの人が列を作っていた。クオンさんは我慢できず、市場に行ってパンと牛乳を買い、貧しい人々に配った。以来6年間にわたり、クオンさんは毎日病院で貧しい人々に無料で食事を配っている。

 「時間になっても私が病院に現れないと、皆さん気をもんで待っているんです。私に非があるみたいにね。でも、病院に着いて皆さんが列を作って待ってくれているのをみると、涙が出そうになりますよ」とクオンさんは語る。

 クオンさんを手伝う人の中には、路上生活者だった人も少なくない。クオンさんが炊き出しを始めたばかりのころ、病院前をうろついている路上生活者がスリを働くこともよくあった。しかし徐々にクオンさんの姿をみてその熱心さに心を打たれ、食事を配るのを手伝うようになったのだという。 

[Thanh Nien 12:15 13/06/2019, A]
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