(C) VIETJO, フエの建造物群 写真の拡大 |
(C) VIETJO, ホイアンの古い町並み 写真の拡大 |
遺産がその地域に経済成長をもたらすことは否定できず、遺産が所在する地域住民も観光サービスなどに携わることで生活を改善する機会を得ることになり、価値のある土産物を生産する工芸村の復興にも繋がる。
しかし、1993年から現在までにベトナムの世界遺産は適切に開発や活用が行われておらず、一部の文化遺産は統一された管理が不足しているため危機的な状況に陥っている。ベトナムの世界遺産の開発・保存・活用は、小さからぬ課題に直面しているのだ。
マクロレベルで見ると、遺産を管理する人々は、ベトナムの世界遺産が合理的に開発されていないことの基本的な原因は、統一された管理モデルが構築されていないことだと指摘する。
現在、ベトナムにおける世界遺産の管理・保存・活用に関する規定や規制は十分でなく、例えば1999年に世界遺産に登録されたホイアンの古い町並みやミーソン聖域についても1972年の世界遺産条約の実施ガイダンスに従った総合的な管理計画は確立されていない。
また、世界遺産の管理分散モデルも統一されておらず、ハロン湾やフォンニャ・ケバン国立公園、フエの建造物群、タンロン遺跡は各省・市の人民委員会が直接管理している。一方、ホイアンの古い町並みはクアンナム省ホイアン市直属、ミーソン聖域は同省ズイスエン郡人民委員会直属となっている。胡朝の城塞についてはタインホア省文化スポーツ観光局の直属だが、一部の面積に限っては地域の管理下にある。