(C) Tuoi Tre 写真の拡大 |
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また、神戸牛の血を受け継いだ牛を日本のやり方の見よう見真似で育てれば、美味しいビーフに仕上がるというわけではない。世界各国では、米国から神戸牛の子牛を輸入して、日本の神戸牛飼育で行われているように手塩にかけて飼育しているが、日本産神戸ビーフの肉質には到底及ばないのが現状だ。
神戸牛ベトナムでは、牧場の建設から飼料の生産、飼育法にいたるまで全てについて日本の飼育技術者が関与している。また、日本の技術者は年に4回ベトナムに足を運び、飼育過程や牛の成長速度をチェックし、ベトナム人飼育者たちに飼育法を伝授している。
牛舎の牛たちは年齢順に並べられ、体格や性別に合わせて個別に餌が与えられる。そして最も重要なのは、出荷直前の過程だ。音楽を聞かせ、ビールを飲ませて、マッサージをするというのは有名な話だが、牛を太らせるために夜通し餌を与えるなど日本の生産者しか知らない様々な「秘訣」があり、この最終過程が肉質の決め手になるという。
日本は過去に神戸牛の輸出を禁止していたが、海外で肉質の悪い偽装神戸牛が広まったため、神戸ビーフのブランド力低下を懸念して、2012年より輸出を解禁した。一方、ベトナムでは今年4月から、日本産牛肉の輸入が許可されている。だが、厳格な日本の基準により育てられた神戸牛は世界で最も美味しいものの、価格も極めて高い。神戸牛ベトナムのグエン・チ・ドゥック・ブー社長は、「日本で神戸ビーフは1キロ当たり170ドル(約1万7000円)程度で売られている。ベトナムで育てて1キロ当たり100ドル(約1万0100円)で販売すれば、牛1頭当たりの売上高は数十億ドン(10億ドン=約480万円)に上る可能性があると」期待している。
同社は会社設立から約6年の月日を経て、ようやく来年3月末頃にもF1神戸ビーフの国内販売に漕ぎ着ける見込みだ。また、引き続きF2やF3の繁殖を行うだけでなく、各畜産農家も取り込んだモデルを展開する計画だという。繁殖や飼育で重要な最初の4か月と最終段階は神戸牛ベトナムが担当し、2年ほどの飼育については農家に委託する。地域農家と一体になった神戸牛飼育モデルを構築することで、地域の活性化にも役立つことが期待されている。