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夫婦は、彼の身分証明書を得るため、チリまで赴き、当時の在チリ・ベトナム大使に直談判する。大使は異国で暮らすベトナムの同胞として、彼の身分証明書取得のために東奔西走した。2006年の終わり頃、バンさんはようやくパスポートを入手した。
店を転々としながら料理の腕を磨いた彼は、料理長を任されるほどになっていた。その後、ウェイトレスをしていた女性と結婚し、2009年に夫婦が資金を出し合って自分たちの店を開いた。店はそれほど大きくなく、テーブルは8つのみ、夫が厨房に立ち、妻が給仕や会計を担当している。今でも決して金持ちになったわけではないが、それでも自家用車を買うことができた。
彼はこう語った。「今ではペルーに住むベトナム人も増えました。主にベトテルのペルー支社で働く若者たちです。ベトナム人はどこに住んでいようとフォーが恋しくなるものなので、皆この店にやってきます」
経済的にも安定した生活を手に入れたが、彼は決して貧しかった日々のことを忘れない。「自分もかつて在ペルーのベトナム人たちに世話になった。その恩返しというわけではないが、ペルーを訪れる同胞たちの手助けをしたい。もしペルーに来て、ベトナムの味が恋しくなったら、私の店に来てほしい。故郷の味をごちそうするよ」