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-当時を振り返った感想をお聞かせください。
-落ち着かない気持ちで、かつて自分が掃除したことのある部屋を眺めました。その時、ふとホテルで働いていた頃、お客から貰ったチップに一喜一憂していたことを思い出して、荷物を運んでくれたポーターにチップを弾むことにしました。チップの額には、彼も満足してくれたと思いますよ。
-その後もホテルでの仕事を続けられたのですか?
-いいえ、ホテルで客室掃除係をした後、いくつもの仕事を転々としました。大学に通い始めてからは兄や叔父の手伝いをして、お金を稼ぎました。院に進んだ頃には奨学金が貰えるようになり、大学院2年の時は、当時の勤め先が学費を工面してくれました。学費に関しては心配がありませんでしたが、家賃に関しては頭が痛かったですね。
-以前から科学者を目指していたのですか?
-いいえ、父は私をエンジニアにしたかったようですが、渡米前の私といえば、勉強が嫌いで毎日卓球に明け暮れていました。ホーチミン市の地区大会では常にトップでしたし、全国大会で優勝したこともあります。渡米当初は、プロ卓球選手になろうと本気で思っていました。しかし、その後とある知人からカリフォルニア州の女子卓球チャンピオンを紹介されて、ひと勝負打つ機会がありました。結果は散々なもので、プロ卓球選手の道は早々に断念しました。それ以降は大学に進み、宇宙工学という自分の進むべき道を見出すことが出来ました。人生には時に方向転換も必要なことです。
-米国で華々しい活躍をしている博士ですが、成功するための秘訣は何だったのでしょうか?
-自分を信じて一生懸命努力することだと思います。すぐに結果が出なくても、成果はあとからついてくるものです。成功するまでの時間は人それぞれですが、力を出しきれば遅かれ早かれ必ず成功できると信じています。神は決して自ら努力する人を見捨てないのです。