(C) Tien Phong, Huynh Kien |
しかし、ゴックリンは育ったものの薬効成分であるサポニンの含有量が、自生地のものに比べ4分の1しかなかった。ホアンさんたちは各地で試験栽培した結果から、2003年にコントゥム省トゥモロン郡テサン地区を本格的な栽培地とすることに決めた。ダラット市から品種改良の専門家を招いて研究を続けた。
ゴックリンの栽培は困難を極める。自生種を植えかえても生き残る率は20~30%止まり。種をつけたと喜んでいると、翌日には鳥に食べられてしまう。ネズミにもニンジンをかじられる。日照りにも弱く、台風ももってのほかだ。森林が痛むとゴックリンも育たないので森林保護も必要だ。
大変な苦労だが、夢もある。最近の調査で、現在の栽培地の周囲に約5000ヘクタールもゴックリン栽培に適した土地があることが分かった。ホアンさんは、地元住民らに森林の保護とゴックリンの栽培を任せて、貧困削減につなげたいと考えている。さらにその先は、収穫したゴックリンを加工した製品を海外に輸出する。
5月5日にホーチミン市で科学技術省の主催によるセミナーが開かれ、ゴックリンをベトナムの特産品として研究開発する案について話し合われた。参加者らは、国レベルの指導委員会または機関の設置を政府に提案することで一致した。コントゥム省当局はこのセミナーで、ある民間企業がゴックリンを栽培していることを発表した。ホアンさんの夢が一歩前に進んだ。