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1994年に輪ゴムの需要が海外でも高まっているとみたティエムさんは、外国企業に売り込みをかけた。これがうまく行き、今では世界18か国に年間数万tのロンタインブランドの輪ゴムを輸出している。従業員の数は一時1000人以上に上ったこともあったが、生産設備の改善により現在は300人体制で生産しているという。
ティエムさんは2008年に、家庭用ゴム手袋の需要が高いことに気がつき、ゴム手袋工場の建設を決めた。当時国内市場には輸入品か低品質の国産品しかなかった。マレーシアから中古の設備を輸入し、社内のエンジニアが改良を加えることで、設備費を低く抑えることができた。今では年間1500万組のゴム手袋を生産しており、ティエムさんは輸出も計画している。
ティエムさんは、「事業を始めた当初は、家族が安心して暮らせることだけを願っていたが、運に恵まれた。私は人様のように学歴がある訳ではなく、商売に関することは本を読んだり、実際に経験したりしたことから学んできた。私に言えることは、商売では信用が最も重要だということだ」と語った。
最後に家族のことについて、「これまで夫婦で一緒に旅行に行ったこともなく、妻には悪いなと感じている。しかし仕事を休む訳にいかないのも事実。留学中の子供たちが戻ってきて、一日も早くこの仕事を継いでくれることが今の願いだ」と素顔をのぞかせた。