ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

日本へのベトナム人労働者派遣の現状

2004/11/03 09:52 JST配信

 先ごろ日本への視察を終え帰国したベトナム労働輸出協会副会長でSuleco労働輸出社社長のTran Quoc Ninh氏に日本へのベトナム人研修生派遣の現状についてお話を伺った。

 Q. 現在台湾でのベトナム人労働者逃亡について日々様々な報道がされていますが、日本への研修生派遣の現状について教えてください。

 A. 日本におけるベトナム人研修生の逃亡率も台湾と同様に高水準で26%を記録しています。一方日本で就業している中国からの研修生については平均3000人あたり逃亡者1人と低く、現在日本企業の多くがベトナム人研修生から中国人研修生採用にシフトしており、中国人研修生数が増加している一方ベトナム人研修生は伸び悩んでいるのが現状です。

 Q. ベトナム人研修生の日本への派遣者数、待遇・就業業種はどのようになっていますか。

A .弊社(Suleco社)では今年これまでに1400人の研修生を日本に派遣してきており、ベトナムの派遣会社全体では年間約2000人を日本に派遣しています。日本での就労は条件的にも他国と比べ恵まれており給料も平均800米ドル/1ヶ月と高水準です。

研修生が就労している主な業種は縫製、電子部品組立て、食品加工などで日本側企業もベトナム人研修生の技量の高さを評価しています。

 また、日本国内での外国人労働力の需要は非常に高く、ベトナムにとって非常に魅力的な市場であると認識しています。

 Q. 日本国内の労働者需要は高いが、ベトナム人労働者の受入数はまだ他国に比べ少ないと言われていますが、これについてはどうお考えでしょうか。

 A. 現在のベトナム労働派遣業界の目標は日本という労働派遣市場を維持しつつ、派遣者数を徐々に増加させることです。しかしながら、ブラジル、タイ、フィリピンからの労働者と比べると日本へのベトナム人労働者派遣者数はまだまだ低水準です。

 中国を例に取ると、毎年3万5000人の研修生を日本へ派遣しており、年間を通じて約9万人の中国人研修生が日本国内で就労している一方ベトナム人研修生は約6000人にとどまっています。

 Q. このほど、日本の労働者派遣企業協会よりベトナム研修生の高逃亡率が改善されなければ日本政府は特定の業種についてベトナム人研修生受入れを打ち切るだろうという報告もありましたが、これについてどうお考えですか。

 A. 日本での逃亡率の高さはもとより、海外でのベトナム人労働者逃亡問題は現在もっとも解決が急務となっていますが、特に日本での特定業種研修生受入れ中止という問題に関しては早急に対応しなければならないと考えています。

 日本での外国人労働者の逃亡については厳しい処分が規定されており、例を挙げると日本の労働者派遣企業が10人の労働者を派遣した工場で3年間で2人が逃亡した(つまり逃亡率20%)とすると、その派遣企業は3年間の労働者派遣契約締結が禁止されます。

 Q. これまでに日本で就労する多くのベトナム人研修生に対しビザの更新が行われない、または派遣が既に決定してもベトナムで長期間待機しなければならないという報告がありましたが、これについてどうお考えですか。

 A. ビザの更新ができず帰国する問題についてですが、日本への派遣期間は通常3年間で、6ヶ月に1度ビザの更新が義務付けられています。しかし、ある工場で特定国出身の労働者が逃亡すると、残りの同国出身労働者へのビザの更新がかなり困難になり、結果帰国せざる終えないこともあります。

 また、派遣決定後長時間待機しなければならない問題については大きく分けて次のような問題があります。1つ目は通常ベトナム側派遣企業が派遣者選考を行った後、日本側の派遣企業が職員をベトナムに派遣し最終面接を実施しますが、その日本側の派遣企業が派遣を見送った場合は、再度別の日本側派遣業者に受け入れを打診するため待機期間が長期に及ぶ場合があります。

 2つ目はまもなく派遣が決まっている日本の受入先工場で労働者の逃亡が起こった場合その後その工場への労働者派遣は禁止になるため、結果、既にその工場に派遣が決まり出発準備中の労働者は他の受入先が決まるまでベトナムで待機しなければならないことになります。

(インタビュー終)

 このように逃亡労働者がもたらす影響は多岐に及び、さらに逃亡者自身も逮捕・拘束、強制出国などの行政処罰を受けるほか、最高1万ドルの罰金が待っている。

 さらにこのような状態がさらに続けばベトナムの派遣会社は日本への派遣機会を喪失することにつながり、さらには外貨収入源ともなるベトナムの労働派遣市場の存在自体も危ぶまれくるだろう。

[Nguoi Lao Dong].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
フランス仕込みのパティシエが焼く「金星紅旗」コレクション (19日)

 ホーチミン市の洋菓子店「ル・プチ・ローラン(Le petit Roland)」は、南部解放・南北統一50周年を記念して、特別なスイーツコレクションを発表した。  店を経営するグエン・ミン・ヒエンさん(男性)さんは19...

南北統一50周年、ホーチミンでプロジェクションマッピング実施 (19日)

 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)記念事業の一環として、ホーチミン市1区人民委員会庁舎でプロジェクションマッピングの国際イベントが開催される。  同市庁舎でプロジェクションマ...

2025ベトナムフェスティバルinかぬま、4月19日開催 (19日)

 栃木県鹿沼市の市文化活動交流館芝生広場で4月19日(土)、「2025ベトナムフェスティバルinかぬま」が初めて開催される。開催時間は午前10時~午後8時で、入場は無料。  同イベントは、日本やベトナム料理を...

ベトナム戦争の孤児ら乗せた米軍機「ベビーリフト」墜落から50年 (13日)

 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を迎え、墜落現場となったホーチミン市12区ブオンライ(Vuon Lai)通りで追悼式が行われた。  「オペレー...

米クアルコム、ベトナムに大規模AI研究拠点設立へ 世界3か所目 (18日)

 米国の半導体大手クアルコム(Qualcomm)は16日、ハノイ市で行われたグエン・チー・ズン副首相との会談で、ベトナムに人工知能(AI)分野の大規模な研究開発(R&D)センターを設立する計画を明らかにした。  同セ...

世銀とアジア開銀、インフラ・環境改善に500億円超の融資 (18日)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国家会議センターで16日夜、ベトナムにおける3件のプロジェクトを対象とした世界銀行(WB)とアジア開発銀行(ADB)による総額約9兆2399億VND(507億円)の融資・支援契約が締結された。...

モバイルマネー、試行期間を25年末まで延長 (18日)

 政府は15日、少額取引決済向けのモバイルマネーの試行期間を延長する決議第87号/NQ-CPを公布した。  ベトナム国家銀行(中央銀行)から承認された企業は引き続き、2025年1月1日から2025年12月31日まで、モバ...

ライオン、医薬品・医療機器の地場メラップを100%子会社化 (18日)

 ライオン株式会社(東京都台東区)は、ベトナムの持分法適用関連会社で、医薬品・医療機器の製造販売を中心とした企業グループの経営戦略・経営管理事業を展開するメラップライオン・ホールディング(Merap Lion H...

フェニカー大学を格上げ、「構成大学と学部を傘下に置く大学」に (18日)

 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、フェニカー大学(Phenikaa University、ハノイ市)を、「構成大学と学部を傘下に置く大学」に格上げする決定に署名した。  今回の格上げにより、フェニカー大学は学部を再...

タンソンニャット国際空港、第3旅客ターミナル開業 (18日)

 ベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は4月19日、4月30日の南部解放・南北統一50周年の記念日に合わせて、ホーチミン市タンソンニャット国際空港の第3旅客ターミ

首相、30年までの国家電力開発計画の調整を承認 第8期電力計画 (18日)

 ブイ・タイン・ソン副首相は15日、「2021~2030年国家電力開発計画及び2050年までのビジョン(第8期電力計画=PDP8)」の調整を承認する首相決定第768号/QD-TTgに代行署名した。  同計画は、経済社会発展に必...

1~3月期の訪日ベトナム人18.8万人、3月までの累計で過去最高記録 (18日)

 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年3月の訪日ベトナム人の数は前年同月比▲5.0%減の6万4100人だった。  1~3月期では、前年同期比+9.3%増の18万8200人となり、3月までの累計で過去最高を...

1~3月期の航空旅客数2070万人、コロナ前超え (18日)

 ベトナム航空局(CAAV)によると、2025年1~3月期の航空各社の旅客輸送量は前年同期比+9.2%増の約2070万人となった。内訳は、国内線が同+5.4%増の約900万人、国際線が同+12.3%増の約1170万人で、いずれも前年...

6.6万人が参加した売春斡旋ルート、元締めの27歳男に禁固15年 (18日)

 ホーチミン市人民裁判所は14日、メンバー6万6000人近くの売春斡旋ルートを組織した元締めのグエン・フウ・タイ被告(男・27歳)に売春斡旋罪で12年、わいせつ物頒布罪で3年の計15年の禁固刑を言い渡した。  ...

3月の対日貿易収支、1462億円の黒字 前年同月比2.35倍 (18日)

 日本の財務省が発表した2025年3月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比2.35倍の1461億6900万円の黒字だった。  日本からベトナムへの輸入額は前年同月比+0.8%増の2482億0200万円...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved