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ベトナムでは近年、富裕層が金銭を支払って外国籍を購入するというケースが多く、外国籍取得のコンサルティングに特化した会社も多数出現している。
外国籍を取得する方法の1つは、当該国の不動産を購入したり、寄付金を贈呈したりするなどして「投資家」として認めてもらうことだ。この方法は特に富裕層の間で人気を集めているようだ。
ベトナムで紹介されている永住カード・外国籍取得プログラムとして、◇米国籍、◇カナダ国籍、◇オーストラリア国籍、◇ポルトガル国籍、◇モンテネグロ国籍、◇キプロス国籍、◇トルコ国籍などが挙げられる。
全米不動産業協会(National Association of Realtors=NAR)の報告「米国の住宅不動産分野における国際活動の概要2017年版」によると、ベトナム人は2016年4月~2017年3月の1年間に30億6000万USD(約3240億円)を投じて米国の不動産を購入し、外国人による不動産の購入金額ランキングで6位につけた。ベトナムの購入金額はドイツ、日本、ベネズエラの合計額に相当する。ベトナム人による米国の不動産購入は、米国籍を取得する目的がほとんどとみられる。
米国の永住権(グリーンカード)と国籍はいうまでもなくベトナム人にとって最も魅力的で、EB-5プログラム(EB-5ビザ)で米国の投資永住権を取得するには、合わせて約100万USD(約1億0600万円)を投資することが目安となっている。その一方、トルコ永住権の取得費用は25万USD(約2650万円)で、ベトナム市場で出回っているサービスの中で最も安いという。
ベトナムに大きく貢献する外国人が、国家主席の承認のもとで外国籍を維持しながらベトナム国籍を取得するという場合を除き、ベトナムは1945年の建国時から国籍唯一の原則を維持している。
しかし、ベトナムは二重国籍の問題を解決する国際的な協定や条約を締結していない。法の不備により、出生時にベトナム国籍を付与された後に何らかの方法で外国籍を取得し、事実上二重国籍を保有するベトナム人が多くいる。
なお、何らかの不正を働き、逮捕を恐れてベトナム国籍以外に外国籍を取得しておくという政治家や企業経営者もたびたび発見されている。
ハノイ市選出の国会議員だったグエン・ティ・グエット・フオン女史が2016年の当選後にマルタ国籍を取得していたことが判明し、国会議員資格を剥奪されている。直近では、ホーチミン市選出の国会議員ファム・フー・クオック氏が2018年にキプロス国籍を取得していたことが判明し、大きな話題になっている。