(C) dantri, ファットさん 写真の拡大. |
ホーチミン市で小さなブン(米製麺)工場を営みながら質素な生活を送っていた老婆の残した1兆VND(約57億円)の遺産をめぐる泥沼の争いが、このほどようやく決着した。原告と被告が直接交渉することで合意し、提訴は破棄されることになった。
ブン工場で多額の富を築いた老婆は、タック・キム・ファットさん(1946年生まれ)。ファットさんは2011年に66歳で死去し、当時ドイツに留学中だった養女のタック・ハー・フエ・ランさん(1987年生まれ)が葬儀を執り行った。葬儀後、一族がファットさんの自宅の金庫を確認したところ、中から総額1兆VND相当の金の延べ棒やダイヤモンド、米ドル札、預金証書、土地使用権証明書が発見された。
ファットさんは生前、寄付などの慈善活動に励んでいたほか、養女のランさんをドイツに留学させていたことからも、相当の財産があったことは知られていたが、あまりにも巨額な遺産に世間は大騒ぎとなった。
ファットさんは、既に両親を亡くしており、結婚もしておらず子供も養子のランさん1人しかいなかった上、遺言も残さなかったため、法的にはランさんが唯一の相続者ということになる。これに対してファットさんの兄弟は「遺産の中に自分が預けた財産が含まれている」として、預けた分を返還するようランさんに求めたが、ランさんは応じなかった。ファットさんの兄弟は、海外在住で経済的な余裕もあり、投資や帰国後に住む土地の購入などの目的でファットさんに現金を預けていたとしている。
今回ランさんは、ファットさんの兄弟にそれぞれ10万USD(約1260万円)と9万EUR(約1250万円)の相当額を返還することに同意し、遺産争いはひとまず決着した。ただし、タック一族もファットさんが管理していた同市タンフー区の表通りに面する住宅(約3000m2)の返還を求めているという。