ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第8回】大気汚染 ~工事現場からは有害物質も

2018/04/16 08:10 JST配信

ハノイやホーチミンのような大都市に住んでいると、大気汚染は避けて通れない問題です。ホコリ、煙、排気ガス・・・。往来が激しい道路や工事現場の側に住んでいなくても、有害物質にさらされ、鼻炎、咳、眼の炎症などに悩まされる人が多くなっています。

ある実験で、自分の住む環境がどれだけ大気汚染にさらされているかを簡単に調べることができます。コピー用紙を1枚、自宅の棚の上に触れずに放置します。4~5日間、毎日紙の写真を撮ると、日に日にチリやホコリが積もっていく様子がよく分かります。

家のそばで工事をしていたら・・・

もし自宅近くが工事中の場合、わたしたちや子どもの健康にはどのような影響があるでしょうか?騒音だけでなく、やはり大気汚染が身体への最も深刻な問題となります。工事現場から発生する大気汚染の原因や健康被害には以下のようなものがあります。

チリ どこの家でもあるような普通のホコリだけではない。工事現場から出るチリには、セメントや重金属類、合成繊維、おがくず、さらには、肺がんの原因となることが知られているアスベストや慢性肺疾患の原因となるケイ素に至るまで、実に多くの種類の化学物質が含まれている。
排気ガス 工事現場の中や周辺の自動車、トラック、ブルドーザー、発電機、その他の石油を燃料とする機械類の排気ガスは、わたしたちが吸い込む空気を著しく汚染する。
ラドン 放射性のガスで、土壌から放出される。工事現場では、大気中に放出されるので、そのレベルが高くなる傾向にある。ラドンは、喫煙に次いで肺がんの代表的な原因の一つ。
アスペルギルス 真菌類(カビ)の一種で、土壌中のどこにでもあるもの。工事や、建物の改装、取り壊しによって大気中に容易に拡散し、近隣住民に呼吸器系の問題や慢性的なアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
ネズミ・害虫 工事現場では、ネズミやゴキブリなどの発生が助長される。これらの有害生物は、外皮を撒き散らすことがあり、アレルギーや喘息の引き金になる。
化学物質 工事現場から出る化学物質や重金属類は、近隣の土壌や用水に吸収され、さらなる汚染や健康被害を引き起こす可能性がある。また、化学物質やチリ、ホコリは、空気により伝播され、肌や眼のかゆみ、皮膚炎(肌の炎症)、眼の感染症(麦粒腫、結膜炎)の原因にもなる。

工事現場がすぐ隣ではなく、たとえ数百メートル離れているだけでも、わたしたちの健康に甚大な被害を及ぼします。学校や幼稚園の近くにある場合も同様です。

大気汚染から子どもを守るために

大気汚染にとても敏感な子どももいます。特に、ハウスダスト(ダニ)アレルギーを持つ子どもは、症状が悪化しやすい傾向にあります。大気汚染から子どもたちを守る7つの方法をご紹介します。

大気汚染から子どもを守る7か条
1. 車の往来が激しい道路や工事現場の近くに住んでいる場合、 なるべく窓を開けない

  ようにする。

2. エアコンのフィルターを頻繁に掃除 する (最低でも1ヶ月に一度)。フィルターに

  ホコリやカビ、有害物質が溜まり、それがエアコンによって室内に拡散され、カー

  ペットやカーテン、枕、ぬいぐるみなどに付着する。

3. HEPAフィルター(高性能エアフィルター)搭載の、 性能の高い掃除機を使って毎日

  掃除 をする。

4. ほうきを使わない 。床を掃かない。ホコリを巻き散らすことになる。
5. 子供部屋には ホコリがたまりやすい布製品 (カーペット、厚手のカーテン、ぬいぐる

  み、クッション等) は置かない ようにする。

6. ベッドのシーツやマットレスなどの 寝具は頻繁に洗って干す
7. 工事現場や交通量の多い通りの近くに住んでいる場合や家の周辺がホコリっぽい

  場合は、外出の際に必ず N95 などの 特殊マスクを使用 する。微量な粒子や化学

  物質、ガスには効果がないが、大きな粒子のホコリにさらされることを防ぐ。

大都市圏内のどの地区に住んでいる子どもたちにも、鼻づまりや副鼻腔炎、扁桃腺肥大、気管支炎、喘息、眼の感染症の症状が見られていますが、これは子どもたちの免疫システムが弱っているからではなく、大気汚染と必死に戦っているからなのです。

<著者紹介>

ジョナサン・ハレヴィ医師

ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市

小児科

小児科医として17年の経験をもつ。2005年から7年間にわたりファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市クリニックに勤務。その後、オーストラリアの小児科医療の最高峰、ロイヤル小児科病院(メルボルン市)小児科集中治療室に勤務し、小児科集中治療分野の経験を積み、再びファミリーメディカルプラクティスに帰任。1児の父。ベトナム語の育児本も執筆している。

ジョナサン医師の詳しい経歴は こちら

著者紹介
ファミリーメディカルプラクティス
20年以上の実績を持つ、インターナショナル・クリニック。ホーチミン市、ハノイ、ダナンの3都市に、5つのクリニックを開設。

日本人医師、日本人スタッフも常駐。日本語ホットラインは救急時24時間対応。

救急医療・搬送サービスも提供。救急医療 専用番号 *9999
気になる医療の話@ベトナム
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
受託手荷物なしの乗客、VNeIDかキオスクでの手続き義務化 (5:08)

 国内すべての空港で2025年12月1日から、搭乗手続き方法が変更された。これは政府の指示第24号/CT-TTgに基づくもので、受託手荷物のない乗客は、電子身分証明「VNeID」または空港設置のセルフキオスクでチェック...

ベトナム航空、Pizza 4P’sのピザ2種類の機内提供を開始 (5:07)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は12月1日から、一部路線でのピザフォーピース(Pizza 4P’s)の冷凍ピザの機内提供を開始した。同サービスを利用するには、搭乗24時間前までに

ロイヤルHD、「いねや」新業態3店舗をホーチミンに出店 (4:56)

 ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や天丼・天ぷら専門店「天丼てんや」などを展開するロイヤルホールディングス株式会社(福岡県福岡市)と双日株式会社(東京都千代田区)が共同出資するベトナム現地法人で...

貧しい人々の「最期の眠り」を見届けて20年、無償で葬儀を行う男性 (11/30)

 ホーチミン市ニャーベー村には、貧しい人々や身寄りのない人々の最期を見送ることに人生のすべてを捧げてきた男性がいる。  地元の人々は、ニャーベー村74集落の長であるレ・バン・サンさんを、親しみを込...

群馬で活躍するバレー越女子代表、SVリーグオールスター出場へ (4:08)

 SVリーグ(SV.LEAGUE)の群馬グリーンウイングスはこのほど、同クラブ所属のバレーボール女子ベトナム代表チャン・ティ・タイン・トゥイ選手(28歳、通称ティティ、4T)が2026年のSVリーグオールスターゲームにリー...

那智勝浦観光機構、ハロン大学と観光人材育成で連携 (3:05)

 一般社団法人の那智勝浦観光機構(和歌山県)は、東北部地方クアンニン省ハロン街区にあるハロン大学との間で、観光・人材育成分野における連携強化を目的とした覚書を締結した。  調印は、11月下旬にクアン...

25年11月の製造業景況感PMI、拡大基調を維持 (2:06)

 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が発表した2025年11月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は53.8だった。  10月の54.5からわずかに低下したものの、50を上回っており、景気拡大基調が続いていることを...

「ザ・グランド・ホーチャム」、ベトナム人のカジノ入場が可能に (1日)

 政府はこのほど、一定の条件を満たしたベトナム人に対し、国内の一部のカジノへの入場を認める決議第8号/2025/NQ-CPを公布した。同決議は即日施行された。  政府は、以下の3か所のカジノでベトナム人の入場...

朝日生命、地場生命保険会社を買収へ 初の海外保険会社のM&A (1日)

 朝日生命保険相互会社(東京都新宿区)は、地場生命保険会社であるMVI生命(MVI Life、ハノイ市)を買収する手続きを開始することについて、MVI生命の親会社であるザ・マニュファクチャラーズ・ライフ・インシュア...

地場グレムシー、ホーチミンでUAVカメラ工場を着工 (1日)

 無人航空機(UAV)向け撮影機器を製造する地場グレムシー(Gremsy)はこのほど、ホーチミン市のサイゴンハイテクパーク(SHTP)でUAV向けカメラモジュール生産工場を着工した。  工場は面積2万5721m2の敷地に建設...

ベトナム企業の9割が国際貿易の拡大に自信、HSBC調査 (1日)

 香港上海銀行(HSBC)が先般発表した国際貿易調査「グローバル・トレード・パルス2.0」によると、ベトナム企業の9割が今後2年間で国際貿易を拡大できると考えており、世界平均の87%をわずかに上回った。  同...

 ホーチミン:市内初の共同利用型AI研究拠点が運用開始 (1日)

 地場総合インターネットメディア運営大手VNGコーポレーション[VNZ](VNG Corporation)とベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)は、市内にある本社ビル「VN

30年までのダナン市文化産業発展計画、芸術文化の中心地に (1日)

 南中部地方ダナン市文化スポーツ観光局はこのほど、2030年までの同市の文化産業発展計画に対する専門家らの意見を聴取するワークショップを開催した。ミーケービーチの1kmの海岸を広大なキャンバスに見立てて、...

無印良品ホーチミン1号店がリニューアルオープン、国内最大旗艦店 (1日)

 株式会社良品計画(東京都文京区)は27日、ホーチミン市にある1号店「ムジ・パークソン・レタントン(MUJI Parkson Le Thanh Ton)」(35Bis-45 Le Thanh Ton, phuong Sai Gon, TP. Ho Chi Minh)を国内最大の旗艦店...

シイエヌエス、NTQソリューションとDX・AIで協業 (1日)

 アプリケーションシステムの設計・開発などを手掛ける株式会社シイエヌエス(東京都品川区)は、ICTソリューションを提供する地場NTQソリューション(NTQ Solution、ハノイ市)との間で、日本市場におけるデジタル...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved