黒ハニ族
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黒ハニ族の女性は伝統的な民族衣装のほかに、髪の毛を模した被り物をあみ出した。この被り物は寒い冬から頭を守るだけでなく、その形状から女性の年代や婚姻状況が分かるようになっている。
被り物の髪の毛には人毛の代わりに樹木の皮や根を細く裂き草木染で染色されたものが使わている。幾度も染色を繰り返すことで黒々と艶のある「髪の毛」になるという。思い通りの「髪の毛」を手に入れるために、女性たちはたくさんの時間と労力を費やすのだ。
黒ハニ族の家の壁にはこの被り物がだいたい2~3個は掛けられている。女性たちは外出する時には必ずこの被り物を被り、脱ぐことはない。そのためいつも小さな櫛を持ち歩き、地毛が乱れて額にかからないよう必要に応じて地毛をとく。頭巾と「髪の毛」が頭の左右どちらかに寄せられていれば未婚女性、頭の中心に頭巾と「髪の毛」があり、その上にもう一枚布が掛けられていれば既婚女性と判別がつく。
ムノン族
ムノン族は古くから天然の材料を「化粧品」にし、髪の毛の艶を出し、唇を赤く、頬をピンク色に、爪を血色の良い色にするのに使ってきた。ムノン族に伝わる美しさの基準は自歯の加工と耳飾りだ。自歯を削るのは大きな痛みを伴うが、現在でも成人が近づくと男女ともに大人の証として自ら望んで歯を加工してもらうそう。
耳たぶに大きな穴を開けて付ける耳飾りは、美しさの象徴であるほかにその人の社会的地位や権力、資産を表すものでもある。つまり、耳たぶの穴がより大きくより高価な耳飾りであるほど、美しく高貴ということになる。そのため、女性たちは耳たぶの穴を大きくするために重さのある象牙を穴に通しておくことで徐々に穴を拡張させるのだという。