ホーチミン市中心部の1区チュオンディン通りにあるヒンドゥー教寺院には、 毎日数百もの人々が心の内を打ち明けに訪れている。真に誠実な人だけが、この100歳を超える石の壁の声を聞くことができるのだという。
(C) kenh14 |
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「バーアン寺(Chua Ba An)」と呼び親しまれているマリアマン寺院(Den tho Mariamman)は、在越インド人が建立した独特な建築物だ。この土地で生まれ育ったタミル人を祖先に持つ貧しい労働者たちが建てたもので、建立から100年以上が経過している。
当初、寺院はトタン屋根で覆われただけの簡素な作りで、ヒンドゥー教徒のために一時的に建立されたものだった。1950年から1952年までに、同市1区在住のタミル人たちによって寺院全体が再建され、インド南部のヒンドゥー教寺院を模した今日の姿になった。
かつて、ホーチミン市に定住するようになったインド人の数は、中国人に次いで2番目に多かった。1975年以降、大多数が故郷に帰って行ったが、彼らの文化を色濃く残す建築は今日まで残り続け、ホーチミン市の特徴的な名所の1つとなっている。
マリアマン寺院に祀られている女神マリアマンは、南インドのタミル地方農村部の地母神とされ、医療や収穫、結婚と家族、そして子供の神として崇拝されている。多くの人々は、中でも健康と家族について祈るためにマリアマン寺院を訪れる。
人々は、本殿で祈りを捧げた後、後方の石の壁に向かい、石の壁と「対話」をする。特に病気や子供のことなど、何らかの心配事を抱えている人々は皆、石の壁に頭をつけて悩みを打ち明ける。そしてここで神の声を聞き、心を落ち着かせるのだという。