マリアマン寺院の前に店を構えるヒエウさんは、「毎日数百人が参拝のためにここを訪れ、壁と対話をしています。壁からの返事を聞くことができる人もいれば、壁に頭をつけて1日中話しかけても何も聞こえない人もいるそうです」と教えてくれた。
(C) kenh14 |
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寺院の関係者によると、真に誠実で善良な人、そして人生に不安を抱えている人に対してのみ、壁は心を開き答えてくれるのだという。寺院の管理者であるブオン・リエムさんは、「石の壁への祈りはこの寺院で長い間行われている参拝方法です。参拝に訪れる人々は、自分の祈りを神に届けたいのです」と話す。
リエムさんは続けて、「私の知るところでは、壁の石はタミル人を祖先に持つインド人がこの寺院を立てるために南インドの高山地域から持ってきたもので、とても神聖で神秘的なものです」と教えてくれた。
同市3区に住むブイ・ゴック・タオさん(33歳)は、人生に挫折しそうなときはいつもここに来て祈るのだという。「私にとって、石の壁と対話をすることで心がとても落ち着きます。神の声が聞こえなくても、私の心にはかすかな心地よい音が聞こえるのです」。
最近では、ヒンドゥー教徒に限らず多くのホーチミン市の人々がこの神聖な石の壁を訪れるようになった。特に不妊に悩む夫婦が、祝福を迎えられるよう石の壁に向かって敬虔に祈りを捧げている。