組み立て終わると4人は勇んで川へ行き試験航行をするのだが、バッテリーに蓄えた太陽光エネルギーがすぐに切れてしまう。岸辺で見物する者たちは、「あのオンボロ船はまったく使えやしないよ。歩くよりも遅い船があるかい」と笑った。
(C) vnexpress, テックマートに出展した模型 |
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(C) vnexpress, リエムさん |
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リエムさんはそれでも、自分たちはまだ正しいところに行き着いていないから成功しないのだ、欠点を克服すればよいのだ、とチームの皆を励まし続けた。
そして彼らは、AC電源の発動機を使用することがバッテリーを多く消費する原因で、更に危険も伴うということを突き止めた。発動機をバッテリー式に変えると電気の消費量が減り、船の航行時間は伸びた。ホアンさんは、船がより速く進むようにスクリュープロペラを改良した。
何十回も試行錯誤を繰り返し、船は次第に水面を進むようになっていった。リエムさんがドンタップ省科学技術局に報告すると、同局は6月はじめに川での試験航行の機会を設けた。同局の指導者ら自らが乗船し、人が漕ぐ必要もなくエンジン音も少ない船の試験航行に立ち会った。
船にはバッテリー2台、発動機1台、ソーラーパネル2枚が搭載されている。航行時には、この2枚のソーラーパネルからエネルギーがバッテリーを経由して発動機に送られる。船の載荷重量は約500kg(定員6人と設備の重さ)、最高速度は時速15kmで、川の流れの方向によって変わる。流れに沿うと、より速く進む。
晴れている時は連続して進むことができ、太陽が隠れてもバッテリーからの電力で3時間程度、約40kmは進むことができる。販売価格は1億4千万VND(約76万5000円)、10年以上の耐久性だ。リエムさんの目下の悩みは、外見がまだ目を引くようなものではないことで、より美しく印象的な姿にするためにデザイナーと協力したいと考えている。