保健省傘下のハノイ医科大学で10日に行われた公務員昇格試験の開会式で、背景画像として表示された保健省のロゴが本来の物とは異なるフェイクのロゴになっていたことが問題となっている。
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物議を醸している理由は、表示されていたフェイクのロゴのデザインにある。デザインは、本来のロゴに酷似しているものの、よく見ると杖に巻き付いた蛇の向きが左右反転しているほか、口には「封筒」をくわえている。
背景画像だけでなく、保健省が受験生向けに発行した外国語試験練習帳の表紙にも、このフェイクのロゴが印刷されていた。
本来の保健省のロゴマークも「杖に巻き付いた蛇」がデザインされたものとなっている。ギリシャ神話に登場する名医アスクレーピオス(Asklepios)が蛇の巻き付いた杖を持っていたことから「蛇と杖」が医の象徴となり、国際的に医学や薬学の象徴として使用されている。
しかし一方で、ベトナムの民俗信仰などでは、蛇は邪悪で狡猾な動物とも考えられている。「封筒をくわえた蛇」から連想されるのは、金に目がくらんだ医療関係者が『袖の下』を受け取る姿。実際、今回のコロナ禍では、新型コロナ検査キットの価格水増し事件が発生し、前保健相や全国の保健局傘下疾病管制センターのトップなどから多数の逮捕者が出ている。
さらに邪推すれば、蛇の向きを左右反転して、本来あるべき方向を進まない「裏切り」を連想させる。さらに、蛇が杖を巻く回数を減らしていることで蛇の姿が「S字」を描いている。「S字」はベトナムの国土を表現するときによく使われる言葉であり、賄賂を受け取るベトナムの医療関係者の姿を描いたという推理が成り立つ。
ハノイ医科大学のグエン・フウ・トゥー学長は今回の件について、「ミスにより、当校の職員2人が誤ってフェイクのロゴを使ってしまった」と説明している。
単純なミスなのか、或いは作為的なイタズラで、何か深い意味を持っているのか、様々な憶測が飛び交っている。事態を重く見た公安省傘下の国内政治安全局(A03)は、この件について捜査を開始。医科大学は捜査結果を踏まえ、フェイクロゴの使用に関与した者を厳格に処分する方針を示している。