ハノイ市タインスアン区タインスアンチュン街区(phuong Thanh Xuan Trung)にあるランドン電球・魔法瓶[RAL](Ralaco)の工場で8月28日に発生した大規模火災に伴う有害物質放出の懸念に関連して、市は水銀汚染の影響地域の住民を対象とした無料診察を実施している。
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市は6日、タインスアンチュン街区とハディン街区(phuong Ha Dinh)の診療所2か所で地域住民を対象とした無料診察を開始した。6日から9日までの4日間に1156人が診察を受け、このうち464人が精密検査のため、ドンダー病院、セントポール病院、タインニャン病院に転送された。現在までに精密検査の結果が出た30人はいずれも、血液中水銀濃度が「許容範囲内」と診断された。無料診察は12日まで続けられる。
今回の有害物質放出の被害是正について、RALは市の指導・監視のもと、◇灰の飛散を防ぐシートの設置、◇汚水流出を防ぐ堤防の設置、◇水銀の蒸発防止のためのスプリンクラー設置、◇下水道・排水溝の泥・廃水の回収などの作業を進めている。
国防省傘下の化学司令部は抜本的な是正を目指し、市に対して軍が火災現場の消毒を行うことを認めるよう要請した。軍は既にサンプルの採取・分析を完了しているが、「権限を有していない」として結果を公表していない。
資源環境省によると、今回の有害物質放出では、同工場の外壁フェンスから半径500m圏内に住む住民が水銀汚染の影響を受けると予想されている。今回の大火災が将来的に水俣病(水銀による中毒性中枢神経系疾患)を引き起こすのではないかとの懸念もあり、是正の徹底を促す声が多くあがっている。