南中部沿岸地方ビンディン省アンニョン町ニョンロック村のチュオンクー地域における考古学発掘調査で、チャンパ王国時代の陶磁器の窯址4基が発見された。この窯址群の年代は800年前ごろ(13世紀ごろ)と見られている。
(C) vnexpress 検出された窯址遺構 |
(C) vnexpress 出土した陶磁器 |
(C) vnexpress 出土した瓦 |
ビンディン省博物館とベトナム社会科学研究所の都城研究センターは2014年12月、同村のチュオンクー地域で約20日間にわたり発掘調査を実施。同省博物館のディン・バー・ホア館長が22日に報告したところによると、計200m2の発掘坑から13世紀ごろに属する窯址の遺構が少なくとも4基、互いに重なり合った状態で検出されたという。
また、窯址の遺構のほか、坏・碗・皿・瓶・甕などいずれも釉薬の掛かった陶磁器や、建築用の瓦などの遺物が発見されている。
「チュオンクー」は同地域を流れるコン川沿いにある丘の名で、今回発掘された窯址群はこの丘の上に位置する。表土に多数の陶磁器片や土器片、窯の壁などが露出しており、4基の窯址が埋まった遺跡として以前から認知されていたが、発掘調査は行われていなかった。
チャンパ王国は、2世紀から15世紀後半ごろまでベトナム中~南部の沿岸地方に存在したベトナムの初期国家。南中部沿岸地方ダナン市や同クアンナム省の地域は同王国の初期の中心地であり、聖地ミーソン・港市ホイアン・王都チャーキエウの3か所を中心として栄えたとされる。後に中心地は南中部沿岸地方クアンガイ省及びビンディン省の地域へ移った。
なお、ビンディン省にはかつてチャンパ陶磁の大規模な陶磁生産工房が6か所ほど存在していた。特にアンニョン町ニョンホア村のゴーサイン窯址群及びタイソン郡タイビン村のゴーホイ窯址群がよく知られており、日本人研究者らも発掘調査に参加していた。
同省の窯址群はいずれも小高い丘の上、また川のすぐ近くに築かれ、陶磁器だけでなく瓦などの建築材も生産していた。これらの地域は陶磁器生産に適した地形や天候のほか、陶磁器を生産するための良質な粘土の入手、また製品を広く流通させるための便利な水路交通網といった条件が揃っていたことから、大規模なチャンパ陶磁の生産工房として発展したものと考えられている。