|[日] ネムノキ(合歓木)、ネム、ネブ
[越] Hợp hoan(ホップホアン〔合歓〕)
[英] Mimosa、Persian silk tree、Silk tree、Pink siris
[学] Albizia julibrissin(マメ科ネムノキ亜科)
[原産] 日本・朝鮮半島~南アジア
[分布] 温帯~熱帯
[ベトナム国内分布] 全国
[開花時期] 6~7月|
ネムノキの名前はちょっとエッチなイメージ?
日本で梅雨の頃になると咲くネムノキの花。ベトナムでは夏を告げ知らせる花として知られています。寒さに強いため、熱帯だけでなく日本など温帯地域でも広く見られます。ベトナムでは街路樹として植えられることが多いです。日本のものとベトナムのものを比べると、ベトナムのもののほうが葉が大きく、花弁の色が若干異なるので、厳密にはまったく同じではないと思われます。
(C) VIETJO Life, ホーチミン市1区と4区の間を流れる運河沿い両側はネムノキ並木
和名のネムノキは、夜になると葉っぱを閉じる様子がまるで眠るようであることからつけられたもの。一方、ベトナム語は、中国語の「合歓」をベトナム語読みした Hợp hoan(ホップホアン) という名で呼ばれていますが、ベトナム人はこの木にあまり関心がないのか、花も名前も知らない人が多いようです。
中国語の「合歓」は、男女が合わさった歓びを意味します。夜になると葉の両側が合わさるのが男女が同衾するようなので、このように呼ばれるようになったのですが、ベトナム語でも「Hợp hoan」というと中国語と同じ意味になるため、あまり口にしたくない名前かもしれません。
開花時期は6~7月 で、北部・中部では夏を象徴する花、南部では本格的な雨季を知らせる花になります。
ネムノキの特徴
ネムノキは高さ10mほどに成長します。同じマメ科の ホウオウボク(Phượng) と同じく羽状複葉と呼ばれる細かい葉が枝の両脇に並んでいます。日本だと冬になると完全に落葉しますが、ベトナムなど熱帯では完全に葉が落ちません(半落葉)。ただし、2~3月ぐらいになると落ち葉が目立つようになります。
葉は夜になると閉じますが、時間で閉じるわけではなく、周囲が暗くなると閉じる仕組みになっているようで、雨で薄暗くなったときも閉じています。暗くなると葉を閉じるのは、花粉を媒介する夜行性の蛾(ガ)が見つけやすいよう花を目立たせるためだと考えられているようです。また、花は夕方に咲き、甘い香りを漂わせます。
(C) VIETJO Life, ホーチミン日本人学校前のネムノキ並木
花が咲いていないとホウオウボク との区別が難しいですが、剪定していないホウオウボクの枝が下に垂れ下がったあと少し横に広がっているのに対し、ネムノキは全体的に丸い傘のようになります。
(C) VIETJO Life
ネムノキはふわふわと毛が生えたような花が特徴ですが、実は この毛のようなものは雄しべ で、花弁は根元のピンク色の部分。日本のネムノキの花弁は白っぽいようなので、ベトナムのネムノキのほうが濃い色に見えます。
日本のネムノキの花
花をよく見ると10~20個ほどの小さな花が集まって、ひとつの塊になっています。ひとつの花には雄しべが30本ほどあります。先に出た雄しべがしおれてきた頃に、中央から白い雌しべが出てきます。
(C) VIETJO Life
こうやって見ると、花火みたいで華やかにも見えますね。ちょっと見えにくいですが、塊の中に若干白っぽくて少し背丈が高くなっている小花があるのに気がつきます。この花だけに蜜があり、虫を引き寄せているのだそうです。
ネムノキの花と種(日本のもの)
花のあとには上の画像のような鞘ができます。中には種(豆)が10粒ほど入っています。食用には適さないようです。熟すと茶色く変色し、からからに乾いて軽くなり、強風が吹くと飛ばされていきます。風が強い日にバイクに乗っていると時々葉っぱのような何かが飛んできて顔に当たって、葉っぱにしては痛いなあと思ったりしますが、ひょっとしたらそれはネムノキの鞘かも・・・。
ネムノキなだけに不眠に効く!
ネムノキの樹皮や花、葉には サポニン という成分が含まれています。サポニンには抗ストレス効果があるそうで、漢方ではネウノキの樹皮を 「合歓皮(ゴウカンヒ)」 と呼んで、 不眠、不安感、うつの改善 などに用いられており、ベトナムでも使用されています。花を摘んで使うこともあるようです。
(C) VIETJO Life
ネムノキは花をつけるようになるまで10年ほどかかるそうです。木がある程度育ってから花が咲くため、人の目の高さで花を見ることは殆どなく、花自体が淡い色で目立ちません。でも、とても可憐な花ですので、見かけたらぜひじっくり観察してみてください。
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