リモノフィラ / Ngò ôm~ベトナム野菜図鑑(香草類1)~

2015/10/14 JST配信

|[日] リモノフィラ(学名から)

[越] Ngò ômまたはNgò om(ゴーオム)、Rau ngổ(ザウゴー、北部)、Rau omまたはRau ôm(ラウオム、南部)、Ngổ hương(ゴーフオン、中部)、Ngổ thơm(ゴートーム), Ngổ om(ゴーオム), Mò om(モーオム)、Ngổ điếc(ゴーディエック)

[英] Rice paddy herb

[学] Limnophila aromatica(オオバコ科)

[原産] 東南アジア|

南部のフォーに欠かせない香草

リモノフィラは東南アジア原産の香草で、和名はありません。ベトナムに来て初めて食べたという人が殆どではないでしょうか。ベトナムでは古くから慣れ親しんでいる野菜であることから、呼び名も地方によって様々。最もよく使われるのは 北部のRau ngổ(ザウゴー)、南部のRau ôm(ラウオム) だと思います。

こんな香草に見覚えがないなと思う人でも、南部のフォー を食べたことがあるのであれば、目にしたことがあるはず。山盛りになった野菜のなかに必ずといっていいほど入っている香草です。

(C) NgBK

また、メコンデルタ発祥で、現在はベトナム各地で様々な具材を使って作られているCanh chua(カインチュア、酢っぱいスープ)に欠かせない薬味として使われます。

味はシソのような爽やかさがありますが、ピリッとした辛味とタンニンの渋みがあるため苦手という人も結構います。酸っぱいスープに入れる タマリンド の甘酸っぱさと絶妙にマッチしますし、とらえどころのない味のCanh khoai mỡ(カインコアイモー、紫芋のスープ)のアクセントとしても欠かせない香味です。

ベトナムの伝統医学の薬草

リモノフィラには、ビタミンCやBが多く含まれています。また、ベトナムの伝統医学ではリモノフィラを薬草として使っています。効能としては、 吐血・子宮内出血の止血、利尿効果、胆石・腎臓結石の治癒、腹部筋弛緩作用による腹痛の軽減 などがあります。すりつぶしたリモノフィラを外傷の止血に用いることもできるということです。

生で大量に食べるのは避けましょう

リモノフィラ自体には毒性がなく、体によい食材ですが、水辺に生息している植物で、茎に細かい毛が生えているため、雑菌や微生物が付着しやすく、しっかり洗ったつもりでも完全に綺麗にすることは難しいそうです。そのため、 食中毒の原因になりやすい と言われています。やはり、フォーなど熱いスープに入れて食べるのは理にかなっていると言えるでしょう。

(C) VIETJO Life

選び方と保管

葉が先端までピンと伸びていて、切り口がみずみずしいものを選びます。水分が多く日持ちがしないこと、雑菌がつきやすいことを考えると、買ったらすぐに流水でジャブジャブと洗い、その日のうちに食べるのが良いでしょう。

|【ポイント】 フォーやカインチュアなどベトナムの代表的料理に欠かせない香草。雑菌や微生物がつきやすいため、そのまま食べるのではなく、熱々のスープの香味として使うのが良い。|