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セオムを上手に使おう~バイクのない人の強い味方~

2015/01/19 JST配信

交通機関の発達していないベトナムで、バイクや車がない人でも最も手軽に移動できる交通手段は「セオム」でしょう。暫くベトナムに住んでから日本に一時帰国すると、あまりにもたくさん歩かねばならないことに呆然とし、ついこんな言葉が頭をよぎります。「日本の街角にもセオムがいてくれれば・・・」。「セオム」とはバイクタクシー(バイタク)のこと。安い料金であっという間に目的地に連れて行ってくれるセオムはとても便利で、バイクを運転しない人にとっては強い味方。ここでは上手に利用するための基本情報をご紹介します。

なんで「セオム」って言うの?

ベトナム語ではバイクタクシーのことをセーオム(Xe ôm)と言います。Xeは「車」、ômは「抱く」という意味です。後部座席に乗る人が運転者に抱きついて乗る様からこう呼ばれています。日本人在住者の間では、ちょっと縮めて「セオム」と呼ぶのが一般的です。また、「セオム」一語でセオムの運転手のことも指します。

セオムはどこにいるの?

(C) VIETJO Life

客待ちをするセオム

セオムはたいてい、交差点の角や路地(ヘム、hẻm)の出口でバイクの上に座って待機しています。そばを歩くとセオムのほうから人差し指を上げて声をかけてきますので、すぐにわかります。ほとんどが中年男性ですが、ごく稀に女性のセオムに出会うことも。

また、流しのセオムもいます。道を歩いている時に、人差し指を上げて合図してくるので、すぐにわかります。ただ、いつも同じ場所にいるセオムのほうが、高い値段を吹っかけてくるといったトラブルの可能性が低いです。なるべく定位置で客待ちしているセオムを選びましょう。

ヘルメットってどうすればいいの?

かつてはバイク乗車時のヘルメット着用が義務付けられていなかったベトナムですが、2007年から義務化され、違反者には罰金が科されることになりました。「バイクなんて乗らないから、ヘルメットなんか持ってない」という方、ご安心を。セオムは客用のヘルメット(ムーバオヒエム、Mũ bảo hiểm)を所持しており、借りることができます。

ただし、見ず知らずの不特定多数の人がかぶったヘルメットをかぶるのに抵抗のある方も多いはず。しょっちゅうセオムを利用する人はマイヘルメットを持ち歩くといいですね。ヘルメットを持ち歩くのが面倒な方は、薄手の帽子や頭に巻くバンダナを持ち歩きヘルメットの下に重ねて被ったり、ヘルメットの内側にハンカチを敷くことで対処できます。

ちなみに、ベトナムではヘルメットの内側に取り付ける中敷き「 ロットムーバオヒエム(lót mũ bảo hiểm) 」というものが売られていますので、これを買って使うのも良いでしょう。ヘルメットを返す時、外すのを忘れないように注意しましょう。

料金交渉はどうすればいいの?

最近都市部では、メーター制のセオム も登場しているようですが、めったに巡り合うことはなく、通常は乗る前に料金を交渉します。料金の目安は、都市部だと1km=1万VND(56円)程度。タクシーの初乗りが1km=1万2000VND程度のため、短距離移動であれば、セオムもタクシーも料金はさほど変わらないことになります。1kmを超える距離の場合は、タクシー料金 のだいたい半額程度と考えて交渉すると良いでしょう。距離や料金が見当つかないときは、周りのベトナム人から事前に情報を収集しておきます。

料金は後払いです。先に払えと言ってくるセオムには何か魂胆がありますので、利用しないようにしましょう。また、料金交渉のとき1本指を立てて「1万VND」で合意したつもりで乗ったのに、降りる時に「10万VNDだ」とふっかけてくることもあります。慣れないうちは、証拠が残るよう紙に数字を書いて交渉するのがよいでしょう。

目的地の住所は紙に書いて見せよう

これはタクシーの時と同じですが、ベトナム語の発音が正しくなければ、相手になかなか伝わらず、違う場所に連れて行かれる可能性もありますので、紙に書いたものを見せるのが確実です。ベトナム語表記がよいですが、英語表記でもたいてい通じます。市内に同じ名前の道が複数ある場合がありますので、区や郡(quậnやhuyện)まで書かれているのが望ましいです。

後ろに乗るときは荷物になりきる

「オム=抱きつく」とはいえ、見ず知らずの汗臭いオジさんに抱きついて乗るのはさすがに抵抗が。かといって後部座席にはつかまるようなところはないし・・・。でも、周りのベトナム人を見ると、どこにもつかまらず上手に乗っていますよね。

上手に乗るコツは、ずばり「荷物になりきる」こと。後ろに乗ったら後部座席のステップに足をかけ、地球の中心に引っ張られるように重心を真下に落とします。バイクは体重をかけた方向に曲がる構造になっていますので、重心が偏らないようにします。バイクが曲がる時は当然重心が移動しますが、バイクの動きに逆らわず体を預けるようにします。

バイクに乗るとき、内股でバイクを挟むニーグリップをしっかりするのが最も良い姿勢なのですが、見ず知らずのオジさんのお尻を挟みたくはない・・・。そういう場合は、足を押し下げるような感じで足の上に手を置き(このとき腕をつっぱると体がのけぞるので、あまりつっぱらないようにします)、猫背気味に乗ると、後ろにのけぞらずバランスがとりやすいです。発進した時に後ろにすべり落ちないよう、足はつま先を下げてステップを包み込むようにします。

バッグなど荷物を持っている場合、セオムと自分の間に挟むように持ちます。荷物がかさばるときは、バイク前方についている荷物用フックにひっかけてもらうか、セオムとハンドルの間に載せてもらいます。ショルダーバッグを体の横や後方にぶら下げたり、ハンドバッグを手にぶら下げて持つのは、ひったくりの標的になり大変危険です。カバンはセオムとの間に置いて、手で押さえるようにしましょう。

(C) VIETJO Life

なお、現地の女性はスカートをはいている場合、横座りして微妙なバランスを保ちつつ乗っていますが、あれは前に抱きついても大丈夫な人が乗っている場合が殆どだと思います。安定性が断然悪いですので、女性がセオムを利用する際、スカートはやめておきましょう。また、アオザイなどヒラヒラした長い衣服を身に着けている場合は、タイヤに巻き込まれないよう十分気をつけましょう。

降りる時は後方確認

目的地に到着したからといって、すぐにバイクを降りるのは大変危険です。すぐ脇を他の車両が走り抜ける可能性があります。必ず後方を振り返ってから降りる癖をつけましょう。

また、お金を払う時に道端で財布を取り出したとたんひったくられたというケースが多いので、あらかじめ細かいお金をポケットにいれておき、そこから払うようにします。

通勤セオムも頼めます

毎日の通勤で使いたい場合、近所のセオムに頼んでおけば、毎日待機していてくれますし、帰りに迎えに来てもらうこともできます。料金は通常より若干安めに設定してくれます。携帯電話番号を聞いておけば、急なキャンセルや時間変更もすぐに連絡できます。定位置にいるセオムは、固定客をできるだけ確保したいため、何かの事情で送って行かれないときにも代わりのセオムを待機させたりと、きちんとした仕事をする人もいて、重宝します。

こんなセオムには気をつけよう!

ホテルや観光スポットで客待ちをしている英語や日本語が話せるセオムを利用する場合、割高な料金を言われます。中には日本のお笑い芸人のギャクを言ってきて関心を引き、日本人に書いてもらったという推薦メッセージを見せて、離れた観光地まで連れて行ってあげると誘うセオムもいます。全てのセオムが悪いことをするわけではなく、英語や日本語が通じることで重宝することもありますが、トラブルも数多く発生していますので、相手をよく見極めて利用しましょう。

セオムは、タクシーに比べて料金が安いというだけでなく、渋滞でタクシーだと時間がかかるところを、セオムで行けば時間を大幅に短縮できるといった利点がありますが、もちろんトラブルや交通事故の危険性はタクシーより高まります。自分の懐や交通の状況、所要時間など様々な要素を考慮しつつ、賢く利用したいものですね。

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