ベトナム南部は、4月に入ったころから時々雨が降るようになり、5月中旬頃から毎日のようにスコールが降ります。4月~5月上旬の南部は年間で最も暑い季節。スコールがコンスタントに降るようになると、気温が下がって過ごしやすくなります。通常は1時間もすれば止むので、カフェなどで時間をつぶすのが一番ですが、先を急ぐときはそうもいきません。また、スコールは雨脚が激しく、強い風を伴うので、傘を持っていても全身ぐちゃぐちゃになってしまいます。そんな時活躍するのが雨合羽。今回は、ベトナムのカッパ(áo mưa、アオムア)を紹介したいと思います。
(C)VIETJO Life
ベトナムのカッパはポンチョタイプが主流
一般的なカッパは、いわゆるポンチョタイプのもの。簡単に言うと、大きなビニールシートの真ん中に穴を開けてフードをつけた形をしています。カブタイプやスクーターを運転するには、この形が便利です。リュックなどを背負っていてもそのままかぶることができます。両脇があいているので、ビニール製でも蒸れません。
(C) NgBK
画像のものは、計器の部分が見えやすいように前の部分が透明になっています。バイクの前に子供を乗せて走るとき、カッパをすっぽりかぶせてしまっても子供が前を見ることができます。ポンチョタイプのカッパの値段は、素材により3万~10万VND(約170~560円)程度です。
(C) NgBK
このように、バイクで二人乗りするときに便利な、二つ頭が出せるタイプもあります。最近は上着とズボンがセットになったセパレートタイプ(áo mưa bộ、アオムアボ)もスーパーなどで売られるようになったので、大型バイクでのツーリングや屋外作業をするときなどには便利ですが、縫い目から水がしみこみやすく、蒸れて暑いです。
(C)VIETJO Life
スーパーや市場のほか、画像のようなカッパ・日焼け対策用衣類を扱うショップで手に入れることができます。
カッパがないのに突然雨が降ってきたら
カッパを持たずに出てしまったのに、雨が降ってきたというときに、便利なのが 簡易カッパ です。
(C)VIETJO Life
雨が降り出すと、こんな四角いビニールの束が道端のタバコ屋さんなどに吊り出されます。これが簡易カッパです。タバコ屋さんのほか、マスクや手袋、防止、ヘルメットなどを扱っている道端の露天商が持っている確率が高いです。これを売っている露天商は雨が降り出すと必ずすぐ見える場所にぶら下げるので、すぐわかります。袋を引きちぎってはずして買います。
・雨カッパをひとつください。
Cho một cái áo mưa đi, anh / chị / em.
チョー モッカイ アオムア ディー、アイン / チ / エム
Cho=ください
một cái=ひとつ
áo mưa=カッパ áo=服 mưa=雨
đi=語尾につけて命令形
anh / chị =同世代より年上の男性(女性)に対する人称
em=年下に対する人称
・いくらですか?
Bao nhiêu tiền, anh / chị / em ?
バオニューティエン、アイン / チ / エム?
(C)VIETJO Life
ホーチミン市内だと、ひとつ5000~1万VND(約28~56円)で売られています。簡易カッパはポンチョではなく、袖を通してかぶるタイプになっています。薄手なので徒歩で雨に降られたときにも便利。かさばらないので、普段の携帯にも向いています。
(C)VIETJO Life
一応、袖のところにちゃんと輪ゴムが入っていて、顔周りも紐で縛れるようになっていますが、脱ぎ着している間に破れてしまうほど薄く、完全に使い捨て目的で作られています。
ポンチョタイプのカッパの上手なたたみ方
カッパはたいてい小さい同色のビニール袋に入って売られているのですが、入っていた通りにたたんで入れるのは至難の業。そこで、簡単でコンパクトにたためる方法をご紹介します。画像では床に置いた状態ですが、手に持ったままでもたためます。
(1)袖の両端を持ち、前後同じ長さになるようによく伸ばします。
(2)袖の両端をあわせて持ち、首の部分を持って全体をぴんと伸ばします。
(3)3分の1程度(すそ幅より袖が出っ張っている部分)を折り込みます。
(4)さらに半分に折ります。
(5)フードを折り込みます。
(6)裾のほうから3分の1ほど折り込みます。
(7)更に半分に折ります。
(8)それを更に三つ折にすれば、超コンパクトに出来上がりです。
カッパ着用時の注意
カッパを脱いだらバイクの上に広げる
カッパを脱いでお店などに入るときは、表側を上にしてカッパをバイクの上に広げておきます。こうすれば雨が降っているときにはバイクが濡れませんし、雨が止んでいればカッパを干すことができます。
カッパはしっかり干す
生乾きでたたんでしまうと、カッパが異様に臭くなりますし、カビが生えることもあります。家に帰ったとき、バイクの上で広げるなどして、しっかり干しましょう。
カッパはシート下に保管
特に雨季に入ったばかりの頃は、カッパを携帯していない人が多いため、カッパの盗難が多発します。バイクにおきっぱなしにする場合には、すぐに見える場所に置かず、なるべくシート下に入れるようにしましょう。
強風であおられないように注意
強風が吹いているときは要注意。バイクの前にかぶせたカッパが持ち上がって、前が見えなくなることがあります。対向バイクにカッパが絡まって引き倒されるという事故も時々あるので、後ろの部分をお尻の下に挟むなどして、風でカッパがあおられないよう気をつけましょう。
カッパにたまった雨に注意
ポンチョタイプのカッパを着てバイクに乗っていると、ハンドルと自分の間のカッパに水がたまってきます。そのまま立ち上がると、たまった水が一気に下に流れて自分やバッグがびしゃびしゃになることもあるので、少しずつ水を下に落としてから動きましょう。
南部の雨は、「ぽつ、ぽつ、ばしゃーっ」と一気に雨脚が強まることが多いです。カッパを着るタイミングを間違えると、カッパを持っているにもかかわらずびしょぬれになってしまうことも。基本的に「強い風+大粒の雨」の場合は、一気に雨脚が強まりますので、躊躇せずにすぐにカッパを着ることをお薦めします。夜の赤い空は雨雲のサイン。降っていなくても、カッパを持って出かけましょう。
<関連記事>