|[日] ザクロ(石榴、柘榴、若榴)
[越] Lựu(ルー、榴)、Thạch lựu(タックルー、石榴)
[英] Pomegranate
[学] Punica granatum(ミソハギ科)
[原産] イラン西北部、西南アジア、南ヨーロッパ、北アフリカなど諸説ある
[サイズ] 直径6~10cm|
日本では観賞用、ベトナムでは食用
日本でザクロと言えば、観賞用植物としてのほうが普及していると思います。日本でザクロは酸っぱいイメージがありますが、 ベトナムのザクロは甘い品種 で、よく食べられています。育てるのが容易なため、ベトナムの田舎ではあちこちの庭先にザクロの木が植えられており、みんな勝手にもいで食べるので、市場で売られていることは殆どなく、田舎の人が都会でザクロが売られているのを見てびっくりした、なんていう話も聞きます。
ベトナムにはシルクロードを伝って中国経由で入ってきたようで、ベトナム語名のLựu(ルー)は漢字の「榴」、Thạch lựu(タックルー)は「石榴」のベトナム語発音になっています。ちなみに、「石」とあるのは当時イランあたりを支配していたアルサケス朝=中国名「安石」からきており、「榴」は「こぶ」の意味です。
ザクロは輸入物もあるので年中出まわっていますが、ベトナムでの収穫期はだいたい9月から2月です。
ベトナムのザクロはやさしい甘さ
日本人が思い浮かべるザクロは赤い外皮と血のような赤色の果肉のものではないかと思いますが、ベトナムで出回っているザクロは、皮にあまり赤みがなく、全体的に黄色いものが多いので、初めはザクロだと気が付かないかもしれません。ベトナム産のものは皮にあまり赤みがなくて果実が小さく不恰好ですが、中国産は皮がピンク色で、丸くて大きいです。
割ると、皮が黄色いものは果肉にも殆ど色がついておらず、皮に赤みがあるものほど、果肉の色も赤っぽいように思います。味はどちらもあまり変わらないように思いますが、赤いほうが甘みが強いように思います。実の中にはちょうどトウモロコシの種のような果肉がびっちり詰まっており、果肉の中に小さな種が入っています。種は食べられますが、青臭いので、ベトナムでは通常吐き出します。
生活習慣病の予防やアンチエイジングに効果
ザクロに含まれている成分として注目されているのは、抗酸化作用のある「デルフィニジン」「シアニジン」などのアントシアニンや、「エラグ酸」などのタンニン類です。 高血圧、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞など生活習慣病の予防 に役立つと言われているほか、 アンチエイジング効果、紫外線やストレスによる肌ダメージを軽減させ若々しく美しい肌を保つ効果 も期待できます。また、ザクロに含まれるビタミンCやエラグ酸にはチロシナーゼの働きを抑制し、 メラニン色素が沈着するのを防ぐ働き があるそうです。そのため、美白にこだわるベトナム女性は「肌にいい果物」としてザクロをよく食べます。
日本では一時、ザクロに女性ホルモン「エストロゲン」が含まれていて、更年期障害改善に効果があるとしてブームになりましたが、実際には果肉にエストロゲンは含まれておらず、種の部分に微量に含まれている程度なので、現在ではザクロを食べたことによる効果は実証できないとされています。
なお、ベトナムでは昔から「男性がザクロを食べると子供ができなくなる」とか「女性化してしまう」と信じている人が多いようです(もちろん迷信です)。
食べ方
手で簡単に皮を剥いたり、実を割ったりすることができます。皮を剥いて出てきた果肉にかぶりつくようにして食べます。先にも書いたように、種は少し青臭いので飲み込まずに吐き出します。果肉がぼろぼろとこぼれ落ちますので、お皿などの上で食べると良いでしょう。
切り分けるとしたらくし切りにするのが良いと思いますが、果肉がぼろぼろとこぼれ落ちる上、種を吐き出さなければならないので、客人に出すのにはあまり向きません。
割った実を水を張ったボールにつけながら果肉をほぐすと、きれいにとれますので、器にほぐしたものを入れてスプーンで食べても良いでしょう。半分に切った皮を器代わりにしてほぐした実を入れるとおしゃれに見えます。また、果肉をつぶして漉し、ジュースにすることもできます。
選び方と保管方法
持ったときに重みがあるもののほうが水分が多く、新鮮でおいしいです。皮の表面になるべく傷がなく、つやつやしたものを選びます。切らずにポリ袋にいれて冷蔵庫の野菜室に入れておけば、数週間持ちますが、ベトナム産は痛みやすく味が落ちやすいと言われていますので、あまり日を置かず食べたほうがおいしいです。
|【ポイント】生活習慣病の予防やアンチエイジングに効果あり。ベトナムで言われる「男性が不妊になる」は迷信です。|