|[日] ニガウリ(苦瓜)、ゴーヤー、ツルレイシ(蔓茘枝)
[越] 南部:Khổ qua(コークア)、北部:Mướp đắng(ムオップダン)
[英] Bitter melon
[学] Momordica charantia var. pavel(ウリ科)
[原産] 東インド、熱帯アジア|
ベトナムの苦瓜はトゲトゲしていない
日本では夏の「グリーンカーテン」として家庭で栽培する人も増えているニガウリ。ベトナムでもよく食べます。ニガウリのベトナム語名は、南部では Khổ qua(コークア) と呼ばれています。コークアは中国語の「苦瓜(クーグア)」のベトナム発音です。
基本的には夏に実る作物で、ベトナムの南部では年中収穫できますが、特にテト(旧正月)のころは「縁起のよい食べ物」として食べる人もいるとか。「Khổ」はベトナム語で元の漢字と同じく「苦しい」という意味、quaは「過ぎる」という意味があるため、「苦しいことはもう過ぎた」という意味をこめてニガウリを食べるそうです。
ニガウリは、北部で Mướp đắng(ムオップダン) と言います。Mướpは「瓜」、đắngは「苦い」という意味です。
左が日本で一般的なニガウリ、右はベトナムのもの
日本で一般的なニガウリと、ベトナムのものを比べてみると、外見がちょっと違います。日本ではいくつかの種類が出回っているのですが、一般的に見かけるニガウリは濃いめの緑色で、表面に細かいイボがびっちりついているものです。一方、ベトナムでみかけるニガウリは明るい緑色で、丸みを帯びた波が並んでいる感じで全体的にツルツルしています。
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ベトナムのニガウリは日本のものより苦味が少ないです。日本でも売られている「白レイシ」という品種に近いと思います。中の種と白いワタの部分を取り除いて使います。
沖縄でチャンプルー(食材を混ぜて炒める料理)にして食べるように、ベトナムでも肉と卵と一緒に炒めたりすることが多いですが、食材として最も使われているのはスープではないでしょうか。スライスした苦瓜を入れたスープだけでなく、ニガウリの種とワタをとった部分にひき肉などを詰め込んだ「Canh khổ qua nhồi thịt(カインコークア ニョンティッ)」。(Canh=スープ、nhồi=詰める、thịt=肉)が最も好まれているかもしれません。同じく肉を詰めて煮付けにもします。
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また、ベトナムのニガウリは苦味が少ないだけでなく水分が多くやわらかいため、薄くスライスして生のまま食べることもできます。
ニガウリの効能は食べるだけじゃない!
ニガウリは苦いだけあって、なんだか体によさそうな気がしますよね。あの苦味の素は「モモルデシン」や「チャランチン」という成分で、 血糖値や血圧をを下げる効果 があるそう。成人病の予防に良さそうです。
また、ビタミンCが豊富で、ニガウリの場合は炒めても壊れにくいとのこと。ミネラルが多く含まれていて、 夏バテ予防や食欲増進 に効果があるといわれています。ベトナムでは 「体の熱を逃がす」 食べ物とされていますが、これはカリウムの作用によるものです。「カリウム」は、尿の排出を促して体の余分な熱を逃がす働きがあります。
食べるだけではなく、 ベトナムでは赤ちゃんの汗疹がひどい場合、ニガウリの煮汁で行水すると直ると言われています。 ニガウリをぶつ切りにして、種をとらずにそのままやわらかくなるまで茹でます。茹で上がったら、煮汁を残して実だけをザルにあけ、実をつぶして更に汁を出し、茹で汁と合わせます。茹で汁をタライに入れて適度に薄め、その水で行水します。行水後はすすがず、タオルでふき取るだけ。ニガウリの匂いはまったくありません。体の熱をうまく体外に逃がしてくれるらしく、2~3日続けるときれいに直ります(効果のほどは体質にもよります)。
|【ポイント】表面がふっくらとしてツヤツヤなものを選びましょう。常温で置くと黄色く変色するので冷蔵庫へ。乾燥と水気に弱いので、乾燥した状態でラップにくるみます。|