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一人の少女を買うのに3000万ドン(約12万円)かかっても、少女一人につき30億ドン(約1200万円)を稼ぎ出せる・・・売春ビジネスはマフィアの麻薬売買並に儲かるブラックビジネスのようだ。中国広西省東興市サムカオ地区のとある町、高層ビルの間に埋もれるようにみすぼらしい家が軒を連ねている。我々が車から降りてくるのを見ると、女が手を振りながら笑いかけてきた。ここは色欲にまみれた退廃の町。
明らかに疲れきった少女が、多すぎる客の相手をしている。我々が取材目的で来た客だと分かると、しきりに支払いをして欲しいと懇願する。支払いがなければ女主人にしごかれるのだという。よほど女主人を恐れてか、何を聞いても生返事しか返ってこない。結局3回分の支払いを先に済ませるとようやく安心したような表情を見せた。
部屋は女主人のいる部屋からは離れているが、それでも彼女は随分用心深く、こっそり自分の名前を明かした。彼女の名前はガー。中国に来たのは自らの意思なのかを尋ねると、長い溜息とともに語りだした。「2年前ハノイである女に騙されて中国に連れてこられました」彼女は1年ほど売春宿で働かされた後、他の売春宿を転々とし、今の場所に流れ着いたという。
この宿の女主人もまたベトナムの紅河デルタ地方ナムディン省出身で、かつて同じように売られてきた身だ。その後、少女を売る身に転じたのだという。サムカオ地区は以前、農業と煉瓦造りの町だった。稼ぎは厳しく、生活のために売春に走る者が多かった。規制が厳しくなってくると多くは別の町に移っていった。