(C) Tien phong, Tran Nguyen Anh 写真の拡大 |
中部高原ラムドン省ダラット市にある通称「クレイジーハウス」は、奇妙な外観のホテルとして外国の建築家や観光客には有名だが、「オーナーがベトナムの著名な政治家の娘」ということでも知られている。オーナーの建築家ダン・ベト・ガーは、確かにベトナム共産党の理論家で党中央委員会書記長を務めたチュオン・チン氏の娘だ。
チュオン・チン氏は党中央委員会書記長を2度務めた唯一の人物で、1986年にドイモイ(刷新)路線に道を開いたことから「ドイモイの書記長」と呼ばれる。ガーは父親について、「父は私たちに何を学べとか何をしろと言いませんでした。私がアート的な建築家の道を選んだ時、父は反対するどころか支持してくれました。父は金銭的な財産は残しませんでしたが、仕事に熱心な態度という大切なものを残してくれました」と語った。
子供の頃から家を離れて生活したため、ガーには自然に独立精神が身に付いたようだ。1951~1954年に中国のベトナム人小学校で学び、その後ソ連に渡り中学校から大学院まで学生として暮らした。大学院修了後にハノイに戻って政府機関の建築設計研究所で働くが、1983年にダラットに移り住むことを決断する。
当時のダラットは今とは全く異なり貧しい町だった。中央での仕事を捨てて田舎に引っ込むという彼女の決断は、周囲の人たちから理解されなかった。やがてドイモイの風が吹き始め、個人の創造力にも関心が向けられるようになる。彼女の独特の建築は、人々の議論の的になった。