ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

HIV感染の夫婦、絶望乗り越え社会活動

2008/11/02 08:32 JST配信

 北中部ゲアン省ビン市在住の技師グエン・タイン・ビンがHIV陽性の結果を知ったのは、今から8年前の希望に満ちあふれる25歳のときのことだった。ショックを受けたが、この結果はうすうす分かっていたことだった。大学時代に麻薬の回し打ちをしていた友人2人が卒業後に警察に逮捕され、血液検査でHIV陽性と判明していたからだ。ビンのHIV感染の知らせはすぐに妻や両親の耳にも入った。妻は2002年に子どもを出産、幸いにも子どもはHIVに感染していなかったが、幸福な時期は長く続かなかった。ビンは2006年に妻と離婚、麻薬中毒者であることが発覚して職も失っていた。

 その年の12月にHIV感染者支援センターを訪ねたビンは、1977年生まれのゴ・ティ・クエンと出会う。彼女は2003年にトラック運転手の夫との間に子どもを授かったが、検査でHIVに感染していることが発覚した。夫は麻薬中毒者だった。子どもは生後7カ月で亡くなり、その300日後に夫も亡くなった。クエンは何度も死のうと思ったが、周囲の人々の励ましが彼女を思いとどまらせたという。

 ビンとクエンの2人は出会ってから半年後の2007年6月に結婚、家畜を飼育して生活も安定した。2人は自分たちの経験を生かせることをしたいと思い立ち、その年の年末ハノイに出かけ麻薬中毒者とHIV感染者が参加するクラブを訪れた。地元に戻ると、ビンは「明るい未来のために」という名前のクラブを立ち上げた。ビンとクエンは村々に足を運んで麻薬中毒者とHIV感染者に参加を呼びかけ、クラブは今年3月に15人のメンバーで活動を開始した。それ以来メンバーの数も徐々に増え、月2回のペースで活動を行っている。クエンもHIV感染予防の活動に積極的に参加している。麻薬中毒者の多い地区での注射針の配布・回収や、HIV感染者のいる家族の悩み相談などを行っている。

 ビンは最後にこう語った。「HIV感染という事実は絶望を意味するわけではありません。私たち夫婦の活動が麻薬常習者の意識を変えたり、HIV感染者の気持ちを軽くしたりできればと思っています。私たちはいつも『命の続く限り、一日も無駄にしないよう社会のために活動を続けよう』と話し合っています」

[Thanh nien, Thanh nien & Cuoc song, 21/8/2008].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ホーチミン:半導体・ME人材育成連盟が発足、30年までに9000人 (6:43)

 ホーチミン市で21日、大学や研究機関、企業など15団体が参加する「半導体・マイクロエレクトロニクス(ME)人材育成研究連盟(ARTSeMi)」が正式に発足した。  同連盟は学校・行政・企業の「三者連携」を強化し...

シネコン最大手CGV、建国80周年式典を全国映画館で無料ライブ中継 (6:12)

 韓国系シネマコンプレックス最大手のCJ CGVベトナム(CJ CGV Vietnam=CGVベトナム)は、ベトナム国営テレビ局(VTV)の承認を得て、8月革命記念日80周年(1945年8月19日~2025年8月19日)および建国記念日80周年(194...

予約時間・運賃交渉が可能な配車アプリが登場、ベトナム初 (5:46)

 GXE株式会社は20日、配車アプリ「GXE.VN」をローンチした。同社によると、予約時間と運賃交渉の機能が搭載された国内初の配車アプリだという。  予約時間と運賃交渉の機能が搭載されたことで、利用者が主体...

戦没者の写真をカラーで復元、遺族に寄り添う写真家 (24日)

 北中部地方タインホア省在住の写真家であるレ・テー・タンさん(男性・1988年生まれ)はこの3年間、同省サオバン村の国道47C号線沿いにある小さな写真店で、約500枚もの戦没者の写真を無償で復元し、多くの遺族の...

砲兵部隊を砲兵ミサイル司令部に再編、国防省発表 (5:22)

 グエン・タン・クオン国防次官 兼 人民軍参謀総長は20日、砲兵ミサイル司令部の設立を決定したと発表した。共産党政治局の決議と党中央軍事委員会の結論に基づいて、国防省が砲兵部隊を基盤とする砲兵ミサイル...

ホーチミン:外国人が購入可能な住宅に48案件を追加、計65件に (4:40)

 ホーチミン市人民委員会は、外国の組織・個人による購入・所有が可能な住宅プロジェクトのリストに新たに48件を追加した。  同市人民委員会はこれに先立ち、外国の組織・個人による住宅の購入・所有が可能...

第18回国際天文学・天体物理学五輪、ベトナム代表全員メダル獲得 (4:24)

 インドで8月11日から21日にかけて開催された「第18回国際天文学・天体物理学オリンピック(IOAA 2025)」で、ベトナム代表として出場した高校生5人のうち1人が金メダル、3人が銀メダル、1人が銅メダルを獲得し、...

ハノイのイエンサー下水処理場が完成、日本企業が建設 JICA支援 (3:26)

 ハノイ市で19日、国際協力機構(JICA)の円借款事業で、日本企業が建設した「ハノイ市イエンサー下水道整備事業」のイエンサー下水処理場の完工式が開催された。  同事業は、ハノイ市中心部西側のトーリック...

第19回ホーチミン国際観光展、9月4日から開催 (2:47)

 ホーチミン市タンミー街区(旧7区)のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, phuong Tan My, TP. Ho Chi Minh)で9月4日(木)から6日(土)まで、「第19回ホーチミン国際観光展...

故ホー主席の元護衛、タイプライターなど遺品2点を寄贈 (23日)

 故ホー・チ・ミン主席がかつて居住・執務していたハノイ市の主席府内にある故ホー・チ・ミン主席遺跡区はこのほど、ホー主席の元護衛で、同遺跡区の元所長でもあるチャン・ビエット・ホアン氏より、ホー主席の...

ハノイ:古都を巡る2階建て豪華観光列車をお披露目、9月運行開始 (23日)

 ベトナム鉄道総公社(Vietnam Railways=VNR)は19日、ハノイ市のハノイ駅(Ga Ha Noi)で、2階建て観光列車「ザ・ハノイ・トレイン(The Hanoi Train)」と、生体認証技術を用いたチケット管理システムをお披露目し...

ホーチミン:9月2日に建国80周年を祝う打ち上げ花火を実施 (23日)

 ホーチミン市人民委員会は、8月革命記念日80周年(1945年8月19日~2025年8月19日)および建国記念日80周年(1945年9月2日~2025年9月2日)を祝う記念事業の一環として、9月2日(火)の午後9時から15分間にわたり、打...

ベトナム人のAI満足度、国産「AI Hay」がGemini上回る (22日)

 地場市場コンサルタント会社デシジョンラボ(Decision Lab)が全国600人の利用者を対象に実施した「ベトナム人消費者の人工知能(AI)利用状況レポート」2025年版によると、国内で開発されたAIプラットフォーム「AI...

軍事パレードのリハーサル中に暴走バイク侵入、警官1人が重傷 (22日)

 21日夜、ハノイ市で発生した暴走バイクによる事件が国内で大きな波紋を呼んでいる。この事件では、バイクに乗った2人組の男が建国80周年軍事パレードのリハーサルで通行禁止となった道路に侵入し、警備中の警察...

ロンソン石油化学コンプレックス、1年ぶりに再稼働 (22日)

 タイのサイアムセメントグループ(SCG)傘下のロンソン・ペトロケミカルズ(Long Son Petrochemicals=LSP)は20日、約1年間の稼働停止を経て、ホーチミン市(旧バリア・ブンタウ省)のロンソン石油化学コンプレック...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved