近頃のホーチミン市内の4歳児は忙しい。昼間は幼稚園、それが終われば小学校1年生の内容を習いに塾へ行かなければならない。家に帰り着くのは夜9時に近い。「まだ4才なのにどうして塾へ行かせるのか?」と父兄に尋ねると、たいていは「他の子もそうしているから」、「小学校の授業で遅れをとらせないため」などの答えが返ってくる。実際には幼稚園で学んでいれば、1年生の授業にはちゃんと追いつけるはずであるが、小学校入学前に1年生の内容を学んでいる児童が多いので、教師はその児童たちに合わせ、基礎を飛ばして授業をする。そのためその内容を学んでいない児童は「理解が遅い」と理不尽な評価を受けているのだ。
塾へ行くことが必ずしもいい効果をもたらすとは限らない。塾と言っても、普通の民家で授業を行う場合が多く、体格に合わない机•椅子で姿勢を悪くする事例、電灯の明かりが足りずに近視になりやすくなるという事例もある。また小学校1年生の授業では鉛筆の持ち方や文字のつづり方を徹底的に教えるが、入学前に間違った規則でその文字を覚えていると、それが癖となり修正が難しい。例えば、数字の「8」を書くのに、「0」を2つくっつけて書く児童もいる。さらには、「全部習ってしまったもの」と言って、小学校の授業に耳を傾けない児童すらいる。
このような状況を受けて、ホーチミン市教育訓練事務局小学校教育課のレ•ゴック•ディエップ課長は、「教師は小学校1年生に対して、教育訓練省が定めたカリキュラム通りに教えること、いかなる児童も文字を習ったことがあるとみなさないこと」と、注意を呼びかけている。小学校1年生で習うことは、それ以降の学習の基礎である。その基礎の段階で誤り、子供の将来を危ぶませてしまう可能性があるのであれば、父兄はもう一度、塾に通わせることについて考え直さなければいけないだろう。