ハノイ市のフードンティエンブオン通りには、白髪抜きサービスの専門店「チャイ」がある。この小さなお店の商売は店員が手でお客の白髪を抜くサービスのみだ。料金は1時間3万ドン(約210円)で、抜いた白髪は黒い紙の上に並べられ、最後にお客が確認できるシステムになっている。
同店オーナーのグエン・アン・ズンさん(27歳)は、大学卒業後に外資系企業に就職、月給800万ドン(約5万7000円)の安定した仕事を投げ打って5カ月前にこの店をオープンさせたばかりだ。仕事を辞めてどの職種で起業するか考えていたとき、いつものように父母の白髪抜きをしていて「これを仕事にしよう」と思いついたという。開店当初は周囲の理解が得られず、広告の掲載を断られるなど苦労したが、現在では客数も増えて経営も安定してきた。
顧客の1人であるホーチミン市在住のホアンさん(37歳)は、出張で同市に来るたびに同店を訪れる。「妻や7歳の子ども、お手伝いさんに白髪抜きを頼むのは気がひける。ここでは音楽を聴きながらリラックスして白髪を抜いてもらえる」と、このサービスを気に入っているそうだ。