(本記事は、2018年5月19日付け「VIETJO LIFE」で配信されたものです。)
日本脳炎は、極東から東南アジア・南アジアにかけて多くみられ、アジア以外の南太平洋の地域でも、ウィルスの広がりが明らかになっています。1935年に日本で初めてウィルスが発見されたことから、「日本脳炎」と呼ばれるようになりました。
日本脳炎の概要
日本脳炎は、神経系の障害を引き起こす脳炎です。蚊の媒介によって日本脳炎ウィルスに感染することで発症します。重症化すると、後遺症を残したり、死に至ることもあります。
日本脳炎は、ウィルスを持つイエ蚊に刺されることで人間に感染します。また、農村部で発生しやすく、季節性があるのが特徴の感染症です。亜熱帯地域では、春から秋(3月~10月)にかけて年間通してみられますが、特に6月~9月がピークとなります。また、蚊は特に夕方から夜間にかけて活発に活動します。豚や水鳥にも感染しますが、人から人へは感染しません。
日本脳炎が多く見られる地域では、0~14歳の子供の10万人中5人に発症、15歳以上では10万人中0.6人に発症しています。発展途上国では、日本脳炎による死亡率は35%以上と高く、毎年約1万人の死亡ケースが、全世界で報告されています。
症状
日本脳炎の症状は様々で、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛などが見られます。これらの症状の後、意識障害や発作、麻痺、過呼吸、その他の脳神経症状が現れます。
対処法
日本脳炎には有効な抗ウィルス剤がなく、頭蓋内圧のコントロールや呼吸困難の回避、痙攣のコントロールなど、症状緩和の対処法が取られます。
予防
第一の感染予防は、蚊に刺されないことです。蚊は夜間に活発になるので、蚊が多い地域に住んでいる、または行く予定がある場合は、就寝の際の蚊帳の使用、そして野外に外出の際は ディート 成分配合の蚊除け剤の使用をしましょう。また、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を抑えることも効果的です。
また、蚊が繁殖しやすい環境を作らないことで、リスクを下げることができます。防虫剤を散布する、ボウフラを食べてくれる魚を水田などに放し飼いする、池の水を定期的に交換するなどの対策があります。
<2018年6月着任の日本人医師>
吉松昌司 医師
ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市
小児科
小児科医として、18年の経験を持つ。フィリピン、カンボジア、ガーナにて小児結核や感染症のプロジェクトにも携わってきた。日本では、発達障害を持ち不登校などに悩む子供達のサポートもしてきた。
2018年6月からファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市に勤務。ベトナムにおいても、邦人・外国人ファミリーが安心して生活できるようにサポートをしていく。
吉松医師の詳しい経歴は こちら
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