[特集]
テトの帰省、辟易する道中の渋滞
2025/01/26 10:26 JST更新
(C) VnExpress |
テト(旧正月)が間近に迫ると、帰省ラッシュとなり、そこかしこで辟易するような渋滞が発生する。
ハノイ市タインスアン区在住のトゥー・タオさん(女性・25歳)は、配車アプリのどの運転手にも配車をキャンセルされ、ひどい交通渋滞でバスも動かないため、自分でバイクを運転して帰省することにした。
翌日に家族の大事な用事があるため、タオさんは1月24日(旧暦12月25日)のうちには実家へ帰らなければならなかった。当初は配車アプリを利用してハノイ市の自宅から約10km離れたバスターミナルまで行き、長距離バスに乗って帰省するつもりでいた。
しかし、配車アプリの運転手はこぞってアプリをオフにしたり、運賃が普段の2倍以上に値上がりしているにもかかわらず、配車依頼を受けた後にキャンセルしたりした。
そこでタオさんは、スーツケースとリュックサックをバイクの後部にしっかりと縛り、足元にはテト用の花束を置いて、ハノイ市から100km近く離れた北部紅河デルタ地方ナムディン省の実家まで帰ることにしたのだった。
タオさんは、ハノイ市内の中心部から国道5B号線まで普段なら2時間で行けるところ、なんと4時間もかかってしまった。ドンダー区のグエンタイホック(Nguyen Thai Hoc)通り、バーディン区のホアンジエウ(Hoang Dieu)通り、ホアンキエム区のチュオンズオン(Chuong Duong)橋、ロンビエン区のグエンバンリン(Nguyen Van Linh)通りと、どの通りも大渋滞だった。交差点では、信号が2~3回も変わるのを待たなければならなかった。
午前10時に出発し、ハノイ市を抜けたのは14時過ぎだった。タオさんは、ここから先はもう交通渋滞に巻き込まれないとしても、実家に着くまでに少なくともあと3時間はかかるだろうと見積もった。「あと1回でも渋滞に巻き込まれたら、もう完全に疲れ果ててしまいますね」とタオさんは語った。
2025年のテトは1月25日から2月2日までの9連休で、帰省ラッシュは1月24日と1月25日だ。帰省ラッシュには、多くの通りが混雑し、交通量が増加して渋滞が発生しやすくなる。
ホアンマイ区で配車アプリの運転手をしているトゥアン・フイさん(男性・34歳)によれば、過去数年間は午前5時から深夜まで配車依頼を受けて、数百万VND(100万VND=約6200円)を稼いでいた。しかし今年はひどい交通渋滞で移動もままならず、配車依頼を受けることができないため、収入は半分、むしろ3分の1にまで落ち込んでいる。
フォン・ニーさんは、ホーチミン市7区の下宿先から15km離れたタンソンニャット国際空港まで移動し、飛行機で北中部地方ゲアン省まで帰省する。下宿先から空港までは普段なら30分で行けるが、渋滞のせいで2時間以上もかかった。
ニーさんは飛行機が出発する4時間前の19時に電話でタクシーを呼ぼうとしたが誰も応答せず、2つの配車アプリを同時に使って1時間近く待って、ようやく依頼を受けてくれる運転手を見つけることができた。運賃は普段の2倍だ。
ニーさんは21時ごろにやっとのことで空港に着いたが、続けてチェックイン手続きで1時間ほど列に並んだ。さらに搭乗口も混雑しており、ニーさんも、他の多くの乗客たちも、地べたに座って休みながら搭乗時間を待つはめになった。
「去年はすし詰めの長距離バスで帰ったので、飛行機ならもうちょっとましだろうと思ったんですが、こんな状況じゃどんな交通手段でも渋滞に巻き込まれてしまいます。故郷を離れた労働者にとっては大変です」とニーさんは語った。
レ・ヒエンさん(男性・50歳)は、ホーチミン市とゲアン省を結ぶ長距離バスの運転手だ。ヒエンさんによれば、今年は旧暦12月半ばにあたる新暦1月半ばから帰省のニーズが高まっていたという。以前はホーチミン市の玄関口となる一部のエリアでしか発生しなかった交通渋滞が、今や市内のあちこちで発生している。
以前はホーチミン市からゲアン省まで長距離バスの所要時間は20~25時間だったが、今では渋滞のせいで30~35時間かかる。このような状況では、移動時間のあまりの長さに乗客も運転手も疲れ果ててしまう。しかし、ヒエンさんは、これはどのバス会社にも共通の「あるある」で、解決策はないのだと話した。
大変なのは、帰省する人たちだけではない。
東南部地方ビンズオン省とハノイ市の間で物資を輸送するトラック運転手のチュオン・コン・トゥックさん(男性・32歳)は、テトの連休に入る1週間ほど前から、南部から地方に帰省する人たちが増え、多くの通りでひどい渋滞が発生していたという。
1月に入る前はビンズオン省からハノイ市まで36~42時間で行けたが、渋滞が長引くと50時間かかることもある。しかし、トゥックさんによれば、帰省ラッシュは3~4倍の時間がかかると見ている。
渋滞が悪化している主な理由は、単純に帰省する人たちが増えるということもあるが、1月1日に道路交通分野の交通安全秩序に関する行政違反処罰を規定する政令第168号/2024/ND-CPが施行され、交通違反の罰則が強化されたことで、制限速度以下で慎重に走行するようになり、信号機の秒数表示も厳密に守るようになったためだ。
高速道路で800m進むのに4時間かかったこともある。ビンズオン省から南中部沿岸地方ビントゥアン省までの所要時間は、以前の4~5時間から14時間近くにまで増えた。何時間も渋滞で動けず、エンジンを切って仮眠を取ったことすらあるという。運転手の中には、眠気を紛らわすためにトラックを降りて、たばこを吸ったり他の人としゃべったりする人もいたそうだ。
「どこもかしこも混雑していて、いったいいつになったらハノイ市に着けるのかわかりません。これじゃ、大晦日まで働いてもまだ休めませんよ」とトゥックさんは語った。
[VnExpress 16:11 24/01/2025, A]
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved.
このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。