[特集]
ハノイの街角、アヒルを連れて散歩する名物男性
2024/11/17 10:07 JST更新
(C) VnExpress |
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午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳)が、手に持った棒で地面を叩くと、生後4か月の真っ白なアヒルは「散歩の時間だ」と理解し、クアンさんの後ろをいそいそと追いかける。「早くおいで、迷子になるよ」と、クアンさんは振り向いてアヒルに話しかける。
毎日午後になると現れる、アヒルを引き連れて歩く白ひげをたくわえた男性の姿は、ファムディンホー街区の住民たちの間では長年のおなじみだ。
「普通は犬や猫をペットとして飼うでしょうが、私はアヒルを飼うのが好きなんです」とクアンさんは語る。
クアンさんがアヒルをペットとして飼うようになったのは、今から10年余り前に、妻が路上でホビロン(孵り途中のアヒルのゆで卵)の店を開いたのが始まりだ。
ときどき成長しすぎて販売できない卵があると、クアンさんはその卵を持ち帰り、自ら孵化させて育てた。まだ経験が浅かった最初のころは、孵化したアヒルが病気になり、死んでしまうこともよくあった。孵化してから数か月間は育てることができても、ネズミに噛まれたり、道路に飛び出してバイクにひかれたりした子たちもいた。
妻はもう店を閉めてしまったが、クアンさんは今でもアヒルの卵を買ってきては孵化させ、ペットとして飼うという習慣を続けている。クアンさんは自分のアヒルを売ったり食べたりするつもりは毛頭ない。
クアンさんによると、アヒルは飼育にお金がかからず、病気になりにくく、飼い主にもよくなつくのだという。小さいうちは糠(ぬか)を与えればよく、大きくなったら米粉麺や春雨、野菜を混ぜたごはんなどを与える。
小屋は大きな発泡スチロールの箱で作り、通気穴を開け、箱の底には掃除がしやすいようにボール紙を敷く。この箱でネズミの襲撃も避けることができる。
クアンさんは、アヒルのストレス解消にと、よくアヒルを連れて出かける。アヒルが小さいうちは腕に抱えて連れ出し、道に慣れさせてから、自分で歩かせる。
クアンさんが現在飼っているアヒルは、ハノイ市フースエン郡のアヒル販売業者から贈られたものだ。この子はこれまでに飼ってきた子たちよりも賢く、「人間の言葉を理解しているような気がする」そうだ。
あるとき、このアヒルが家の中に入ってきて寝具を汚してしまうと、クアンさんは鞭を握って地面を叩き、アヒルを叱った。それ以来、アヒルはずっと庭にいて、ドアが開いていても家の中には入ってこなくなった。アヒルは外に出かけたくて鳴いていても、クアンさんが一声叫べばすぐに静かになる。
「この子は子供みたいなものです。私が歩けば後ろをついてきますし、座っていれば頭をすり寄せてくるんです。愛おしいですよ」とクアンさんは語る。
クアンさんの姉のグエン・ヒエンさん(女性・64歳)いわく、汚いのでは、近所に迷惑がかかるのでは、と、最初は家族もアヒルを飼うことに反対していたが、アヒルは従順で、弟の話し相手にもなるのならと思い直し、飼うことにした。
クアンさんは最近、体調が優れず仕事に行けなくなった。妻子が仕事に出かけている間、クアンさんは自宅で食事を用意し、時間ができればアヒルを連れて出かけている。
このところ、クアンさんがアヒルを連れて散歩しているところを撮影した動画がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でいくつも共有され、大きな注目を集めている。多くの人が、アヒルが飼い主になついている様子に驚いている。
クアンさんによると、有名になってから、このアヒルを数百万VND(100万VND=約6100円)で買い取りたいと申し出る人がいたという。それでもクアンさんは、一番の親友を売り飛ばすようなことはしないと語った。
[VnExpress 08:35 29/10/2024, A]
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